はじめに
「家は残さない」「最終的には処分する」と決めた瞬間、多くの人が次に悩むのが、
何から手を付ければいいのか分からない
という問題です。
家の処分は、売却・解体・相続・税金・感情整理が絡むため、順番を間違えると手間も負担も大きくなります。
本稿では、老後・相続を見据えて家を処分すると決めた後、どの順番で何をすべきかを時系列で整理します。
ステップ0 「誰の判断か」を明確にする
最初にやるべきことは、実務ではありません。
この判断を誰が主体的に行うのかをはっきりさせることです。
・自分が元気なうちに判断するのか
・配偶者と共同で決めるのか
・子どもにどこまで関与してもらうのか
ここが曖昧だと、途中で話が止まります。
「最終判断は自分がする」「実行段階で子どもに共有する」など、役割分担を先に決めます。
ステップ1 処分のゴールを仮決めする
次に、家をどう終えるかのゴール設定をします。
・生前売却する
・自分が住み切った後に売却する
・解体して更地にする
・買取業者を使う
この時点では仮決めで構いません。
重要なのは、「何となく処分する」状態から、「方向性がある状態」に移ることです。
ステップ2 家の現状を把握する(書類整理)
方向性が見えたら、現状把握に入ります。
最低限、次の資料を揃えます。
・登記簿謄本
・固定資産税の課税明細
・建築時の図面、確認済証
・修繕履歴、リフォーム履歴
これらが揃うだけで、売却・相続・解体のすべてが進めやすくなります。
資料が見当たらない場合でも、取得可能なものは早めに再取得します。
ステップ3 「売れるか」「処理できるか」を確認する
次に、市場での扱われ方を確認します。
・不動産会社に簡易査定を依頼
・売却が難しそうな理由を聞く
・解体が前提になる可能性を確認
この段階では、価格よりも
「売却可能性」「時間がどれくらいかかるか」
を重視します。
思った以上に売れにくいと分かれば、
・生前処分に切り替える
・買取業者を検討する
といった判断が早くできます。
ステップ4 税金と手取りのイメージを持つ
処分を考える際、税金の把握は避けて通れません。
主に意識すべきは、
・売却時の譲渡所得税
・相続時の相続税
・解体費用と固定資産税
この段階で、
「売るといくら残るのか」
「残さない方が楽なのか」
を大まかに把握しておくと、判断がブレにくくなります。
ステップ5 家の中の整理を始める
実務的に最も時間がかかるのが、家の中の整理です。
・不要な物の処分
・思い出の品の選別
・重要書類の集約
ここは一気にやろうとせず、
「今日はこの部屋だけ」
と区切って進めるのが現実的です。
家の処分は、物の整理=気持ちの整理でもあります。
ステップ6 子どもに「方針」を伝える
すべてを決めてから伝える必要はありません。
重要なのは、
「家は残さない」「処分する予定だ」
という方針の共有です。
・判断を押し付けない
・実行を任せない
・困らせない
この三点を意識すると、話し合いはスムーズになります。
ステップ7 法的な形に落とす
最後に、決めた方針を形にします。
・遺言書への記載
・売却予定の明記
・解体方針のメモ
完璧な書類でなくても、
「意思が分かる形」で残すことが重要です。
おわりに
家の処分は、思い切りではなく段取りです。
順番を踏めば、感情的な負担も実務的な負担も確実に軽くなります。
家をどう終えるかを考えることは、
自分の老後をどう守るか、
子どもに何を残さないか、
を考えることでもあります。
決めることは重いですが、
決めてしまえば、生活は驚くほど軽くなります。
参考
税のしるべ
国土交通省 不動産取引・空き家対策資料
国税庁 譲渡所得・相続税関係資料
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
