はじめに
住宅ローン控除や金利、購入価格に目が向きがちな住宅選びですが、老後になってから問題が噴き出す住宅は少なくありません。
住めなくなる、売れない、貸せない、修繕費が払えない。こうした状態は、住宅そのものが原因で老後生活が行き詰まることを意味します。
本稿では、「老後に詰む家」に共通するポイントを整理し、立地・性能・費用の三つの視点からチェックリスト形式で解説します。
チェック① 立地 ―「住めない」「売れない」リスク
老後の住宅リスクで最も大きいのが立地です。建物は直せても、立地は変えられません。
立地チェックリスト
以下に複数当てはまる場合は要注意です。
・最寄り駅まで徒歩20分以上
・バス路線が少なく、本数も減少傾向
・病院やスーパーまで車が必須
・高低差が大きく、坂や階段が多い
・災害レッドゾーンまたはその周辺
・将来人口が減少する地域
若い頃は問題なくても、免許返納後や体力低下後に一気に不便になります。
また、こうした立地は将来の買い手・借り手も限られやすく、売却・賃貸の出口が狭い点が特徴です。
チェック② 性能 ―「直せない」「評価されない」リスク
次に重要なのが住宅性能です。
令和8年度税制改正でも明確になった通り、今後は住宅性能による選別が進みます。
性能チェックリスト
・断熱性能が低く、冬寒く夏暑い
・省エネ基準未満、または証明できない
・段差が多く、バリアフリー化が困難
・間取りが細かく、将来の改修が難しい
・築年数が古く、設備更新が一巡していない
性能の低い住宅は、
・光熱費がかさむ
・健康リスクが高まる
・リフォーム費用が高額になる
という三重苦に陥りやすくなります。
また、将来売却する際にも「性能が説明できない住宅」は評価されにくくなります。
チェック③ 費用 ―「住み続けられない」リスク
老後に住宅で詰む最大の原因は、住居費の読み違いです。
費用チェックリスト
・住宅ローン完済後の支出を把握していない
・固定資産税・都市計画税を軽視している
・修繕費を積み立てていない
・マンションの管理費・修繕積立金が将来上昇予定
・リフォーム資金を老後資金に含めていない
住宅ローンが終わっても、住居費はゼロにはなりません。
特に戸建てでは、外壁・屋根・給排水管といった大規模修繕が老後に集中しやすくなります。
危険度セルフ判定
以下のように整理すると分かりやすくなります。
・立地に問題あり × 性能に問題あり → 高リスク
・立地は良いが費用負担が重い → 中リスク
・性能は高いが立地が弱い → 出口リスク
すべてを満たす完璧な住宅は存在しません。重要なのは、「どのリスクを許容し、どこを回避するか」を自覚することです。
住宅ローン控除に惑わされない視点
住宅ローン控除は、あくまで入口の支援策です。
控除があるから購入する、控除を使い切るまで住み続ける、といった発想は老後リスクを高めかねません。
老後に詰まないためには、
・売れるか
・貸せるか
・無理なく住み続けられるか
という出口の選択肢を複数残しておくことが重要です。
おわりに
老後に詰む家には、共通するサインがあります。
立地・性能・費用のどれか一つでも見誤ると、老後生活に大きな影響を与えます。
住宅は資産であると同時に、生活インフラです。
今の減税や条件の良さだけでなく、「老後の自分が扱える住宅か」という視点を持つことが、これからの住宅選び・住宅保有には欠かせません。
参考
税のしるべ
令和8年度税制改正大綱
国土交通省 住宅政策資料
国税庁 不動産・固定資産税関係資料
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
