株高・金利高の共存が崩れ始めた理由――減税期待と財政不安が市場に与える影響

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2026年に入り、日本の金融市場に明確な変化が表れ始めています。
これまで同時に進んできた株高と金利上昇の関係が崩れ、株安・債券安が同時に進行する局面が見られるようになりました。背景にあるのは、衆院選を前にした消費税減税論と、それに伴う財政悪化への警戒感です。

本稿では、株高・金利高の「共存」がなぜ成り立たなくなったのか、その構造と、今後家計や投資家がどう向き合うべきかを整理します。


株高と金利高はなぜ共存してきたのか

これまでの局面では、長期金利の上昇は必ずしも株価の下落を意味しませんでした。
理由は、金利上昇が「景気回復」「企業収益の改善」を背景としたものであったからです。

  • 景気拡大 → 企業利益の増加
  • 利益増加 → 株価上昇
  • 景気回復 → 金利正常化

この循環の中では、株高と金利高は同時に成立していました。特に2024年以降は、名目成長率の回復を背景に、日本株は海外投資家の資金流入を受けて上昇してきました。


今回の金利上昇が「質的に違う」理由

ところが、足元の金利上昇は性格が異なります。
今回の上昇は、景気回復よりも財政悪化への懸念が強く意識されています。

衆院選を前に、与野党がそろって消費税減税を掲げ、しかも恒久財源が明確でない状況が続いています。市場では次のような連想が働きました。

  • 消費税減税 → 税収減少
  • 代替財源が不透明 → 国債増発懸念
  • 国債増発 → 債券価格下落・金利上昇

つまり、金利が「成長の結果」としてではなく、「信用不安の結果」として上昇している点が大きな違いです。


株式市場への影響が分かれた理由

この金利上昇は、株式市場に一様な影響を与えていません。
20日の東京市場では、業種ごとに明確な明暗が分かれました。

下落が目立ったセクター

  • 高PERのハイテク株
  • 金利上昇が収益を圧迫する不動産株

将来利益を割り引いて評価する成長株ほど、金利上昇の影響を受けやすくなります。

上昇したセクター

  • 食品・小売関連
  • 防衛関連

消費税減税が直接的に家計支出を押し上げると見込まれる業種や、政府支出拡大の恩恵を受ける分野には資金が向かいました。


「トリプル安」が示す市場の警戒感

一時的に、株安・債券安・円安が同時に進む「トリプル安」の様相が見られた点も重要です。
これは市場が、日本の財政運営そのものに対して慎重になっているサインといえます。

株安だけであれば調整局面、金利上昇だけであれば成長期待とも解釈できます。しかし、三つが同時に進む場合、海外投資家の視点では「日本リスク」が意識されやすくなります。


アベノミクス再来への期待と不安

一方で、市場には期待も混在しています。
選挙後に政権が安定し、成長投資と賃上げを軸とした経済運営が明確になれば、再び株式市場が評価される可能性は残っています。

ただし、過去との決定的な違いは「金利のある世界」に戻りつつある点です。
かつてのように、財政拡張と金融緩和を同時に進める余地は小さく、政策の持続性がこれまで以上に問われます。


結論

今回見られている株高・金利高の共存崩れは、一時的な市場調整ではなく、政策と財政に対する評価の変化を映しています。

  • 金利上昇の「理由」が成長か不安か
  • 政策が短期刺激にとどまるのか、中長期の成長戦略を伴うのか

これらが明確になるまでは、市場の不安定さは続く可能性があります。
家計や投資家にとって重要なのは、短期の値動きに振り回されることではなく、金利・財政・成長の関係を冷静に見極めることです。


参考

  • 日本経済新聞「株高・金利高の共存崩れる 長期金利上昇 減税にらみ財政悪化懸念」(2026年1月21日朝刊)

という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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