税制改正が年度末までに成立しない場合、制度は「予定どおり延長」ではなく、原則に戻るという扱いになります。
このとき重要なのは、判断を止めないことでも、楽観視することでもありません。
確認すべき点を機械的に確認し、期限基準で動くことです。
以下は、税制改正が遅れた局面で最低限確認すべき行動チェックリストです。
Ⅰ.家計向けチェックリスト
① 不動産・住宅関係
□ 登記や名義変更の予定が4月以降にずれ込んでいないか
□ 登録免許税の軽減措置が「成立前提」になっていないか
□ 売買契約と登記日が離れていないか
□ 金融機関・司法書士任せにしていないか
→ 登記日基準で税率が決まる点を必ず確認します。
② 生活費・物価への影響
□ 食品・乳製品・加工品で輸入原料比率が高いものはないか
□ 値上げが「一時的」だと思い込んでいないか
□ 家計予算を据え置いたままにしていないか
→ 関税は静かに効いてきます。気づいた時には固定費化していることもあります。
③ 年収の壁・年末調整
□ 年収の壁引き上げを前提に働き方を調整していないか
□ 勤務先の制度改修スケジュールを確認しているか
□ 年末調整での反映時期を誤解していないか
→ 法成立が遅れれば、現場対応は後ろ倒しになります。
Ⅱ.企業向けチェックリスト
① 原材料・仕入れコスト
□ 暫定税率前提で仕入契約を結んでいないか
□ 関税が戻った場合のコスト試算をしているか
□ 為替と関税を切り分けて考えているか
→ 「為替のせい」だけでは説明できないコスト増が出ます。
② 価格設定・契約条件
□ 価格改定を「法成立後」に回していないか
□ 長期契約に税率変動条項を入れているか
□ 値上げの説明を後出しにしていないか
→ 税制不確実期は、説明責任がより重くなります。
③ 不動産・設備投資
□ 登記・取得時期が税制前提になっていないか
□ 補助金・税優遇の適用要件を再確認したか
□ 4月以降の税負担で採算が崩れないか
→ 「予定通り延長」は、会計上の根拠になりません。
④ 事業承継・相続対策
□ 事業承継税制の申請期限を再確認したか
□ 延長前提で準備を止めていないか
□ 顧問先・家族に曖昧な説明をしていないか
→ 期限型制度は、一度失効すると原則戻りません。
⑤ システム・事務対応
□ 税率変更時のシステム対応を想定しているか
□ レジ・会計ソフト・請求書様式を確認したか
□ 社内説明を後回しにしていないか
→ 準備期間が短いほど、現場の負担は跳ね上がります。
結論
税制改正が遅れたときに重要なのは、
「成立するかどうかを当てにいくこと」ではありません。
・期限基準で判断する
・不利な前提で一度試算する
・確認作業を止めない
この3点を守ることで、家計も企業も静かな税制リスクから距離を取ることができます。
税制は、決まってから対応するものではなく、決まらない可能性を前提に動くものです。
参考
・日本経済新聞「衆院解散で関税上げ懸念 トウモロコシなど400品目 優遇措置、3月末に期限」(2026年1月20日朝刊)
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。

