消費税減税が選挙の争点になるとき、私たちは何を見るべきか――衆院選と「食料品ゼロ税率」論争の本質

政策

衆院解散が目前に迫り、各党の公約づくりが一気に加速しています。
今回の衆院選で特徴的なのは、与野党を問わず「消費税減税」が前面に出てきた点です。特に、食料品の消費税率を時限的にゼロとする案は、複数の政党が公約に盛り込む方向で調整しています。

家計負担の軽減という分かりやすいメッセージの一方で、税制・財政・金融市場への影響は決して小さくありません。本稿では、今回の消費税減税論を整理し、家計と将来世代の双方の視点から考えてみます。

与野党に広がる「食料品ゼロ税率」

報道によれば、自由民主党は、日本維新の会との連立合意を踏まえ、食料品の消費税率を2年間ゼロとする案を公約に盛り込むかどうかを検討しています。

一方、立憲民主党と公明党が結成した新党「中道改革連合」も、生活者支援を前面に掲げ、同様の政策を基本方針に据える方向です。
国民民主党や共産党なども、消費税減税を従来から主張しており、消費税減税は事実上の共通争点となっています。

このように見ると、消費税減税は「どの党が主張するか」ではなく、「どの程度・どの形で行うか」が問われる段階に入ったといえます。

家計支援としての効果と限界

食料品の消費税率がゼロになれば、日々の買い物に直結するため、家計にとって一定の即効性があります。
とくに、低所得層ほど食費の割合が高いため、逆進性の緩和という意味では分かりやすい政策です。

ただし、注意すべき点もあります。
消費税は価格に含まれて転嫁される税であり、ゼロ税率による値下げがどこまで実感できるかは、事業者側の価格設定次第という側面もあります。また、期間限定措置である場合、終了時には再び価格が上昇し、家計の負担感が戻る可能性があります。

財源問題をどう考えるか

食料品の消費税率をゼロにした場合、年間で約5兆円規模の税収減になると試算されています。
これは国の税収全体の約6%に相当し、決して小さな金額ではありません。

各党は「経済成長による税収増」や、政府系ファンドの活用などを財源案として挙げていますが、安定的な裏付けがあるかどうかは不透明です。
社会保障費が増え続けるなかで、恒久財源を示さずに減税だけを先行させれば、将来世代への負担先送りになりかねません。

金利・為替市場への影響

もう一つ見逃せないのが、市場の反応です。
足元では円安が進み、長期金利も上昇しています。財政規律への懸念が強まれば、国債金利の上昇やさらなる円安を招くリスクがあります。

円安は輸入物価の上昇を通じて、結果的に物価高を助長します。
つまり、消費税減税で家計を支えようとした結果、別の形で家計負担が増える可能性も否定できません。

消費税減税をどう受け止めるか

今回の衆院選では、消費税減税が「生活を守る政策」として強く訴えられる見通しです。
しかし、有権者として重要なのは、「減税するか否か」だけでなく、どの範囲で、どの期間、どの財源で行うのかを見極めることです。

短期的な負担軽減と、中長期的な財政の持続性。そのバランスをどう取るのかが、各党に問われています。

結論

消費税減税は、分かりやすく支持を集めやすい政策です。
一方で、その影響は家計だけでなく、財政、金融市場、将来世代にまで及びます。

今回の衆院選では、「減税」という言葉の響きだけでなく、その設計と帰結に目を向けることが、これまで以上に重要になるといえるでしょう。


参考

・日本経済新聞「与野党に消費減税論 立公新党、安保法制『合憲』で調整」(2026年1月19日朝刊)
・日本経済新聞「衆院選、家計支援に傾斜鮮明 消費減税論、自民にも波及」(2026年1月19日朝刊)


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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