2026年4月は、多くの家計や企業にとって重要な節目になります。
高校授業料の実質無償化、自動車購入時の税負担軽減、軽油価格への影響など、生活や事業活動に直結する制度変更が予定されているからです。
ところが、通常国会冒頭での衆議院解散という政治判断が浮上したことで、これらの看板政策が予定どおり実施されるのか、不透明感が強まっています。本稿では、暫定予算という制度の位置づけを確認しながら、国民生活への影響を整理します。
冒頭解散が予算・税制に与える影響
通常、4月1日に始まる新年度に向けて、国会では前年度内に本予算と税制改正関連法案を成立させる必要があります。しかし、国会冒頭で衆議院が解散されると、審議日程は大幅に制約されます。
その結果、
・2026年度当初予算
・4月1日施行を前提とする税制改正法案
の年度内成立が難しくなる可能性が生じます。これは単なる政治日程の問題ではなく、制度の「法的裏付け」が間に合うかどうかという、極めて実務的な問題です。
高校授業料無償化は暫定予算で対応できるのか
政府は2026年4月から、私立を含めた全国の高校授業料を実質無償化する方針を示していました。就学支援金制度を拡充し、所得制限を設けず最大45万7,200円を支給する構想です。
このため、2026年度予算案には約6,174億円の関連経費が計上されています。しかし、本予算が年度内に成立しなければ、4月以降は制度を実施するための予算が存在しない状態になります。
考えられる対応策は、
・暫定予算に組み込む
・自治体が一時的に立て替える
といった方法ですが、暫定予算は本来、公務員人件費や社会保障など「最低限の継続支出」を想定した制度です。新規施策を盛り込むことには慎重論が根強く、制度開始が年度当初から行われるかは予断を許しません。
車の減税が止まると何が起きるか
もう一つの看板政策が、自動車購入時に課される環境性能割の廃止です。現行制度では、燃費性能などに応じて購入価格の最大3%が課税されています。
これを3月末で廃止し、4月から購入負担を軽減する予定でしたが、税制改正法案が年度内に成立しなければ、廃止そのものができません。4月以降に購入予約をしている人にとっては、想定外の税負担が生じる可能性があります。
さらに、軽油引取税に上乗せされている旧暫定税率も同時に廃止される予定でした。現在は補助金によって価格上昇を抑えていますが、税率廃止が間に合わないまま補助金だけが終了すれば、軽油価格は逆に上昇しかねません。
暫定予算という「つなぎ」の限界
暫定予算は、財政法に基づく応急措置であり、本予算成立までの「つなぎ」に過ぎません。審議は短期間で形式的になりやすく、本来は十分な国会審議が必要な政策を恒常的に実施する制度ではありません。
過去には、税制関連法案が年度内に成立せず、ガソリン価格が一時的に大きく変動し、現場に混乱をもたらした例もあります。制度の空白は、最終的に国民や事業者がリスクを負う形になりやすいのです。
結論
冒頭解散という政治判断は、政権運営上の戦略である一方、制度を前提に行動している家計や企業にとっては不確実性を高めます。高校無償化や車の減税は「やる・やらない」の問題ではなく、「いつ・どの法的根拠で実施されるのか」が重要です。
4月1日という区切りは、生活と税制に直結します。今後の国会対応次第では、制度が予定どおり始まらない、あるいは一時的な混乱が生じる可能性も否定できません。政策の中身だけでなく、その実行プロセスにも注目していく必要があります。
参考
・日本経済新聞「看板政策、冒頭解散が影 4月実施の高校無償化・車減税」
・日本経済新聞「暫定予算 本予算まで、つなぎの経費計上」
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
