高齢者29.4%、過去最高更新 ― 元気に働くシニアと社会の課題

FP
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9月15日は敬老の日。総務省が公表した人口推計によると、日本の65歳以上の高齢者は3619万人に達し、総人口の29.4%を占めることが明らかになりました。
これは人口4千万人以上の国の中で世界トップの割合であり、「超高齢社会」と呼ばれる日本の現状を改めて浮き彫りにしています。

一方で、高齢者の就業者数も930万人と過去最多を更新。働く人の7人に1人が高齢者という時代になりました。この記事では、この背景や課題、そして今後の展望について整理してみたいと思います。


日本の高齢化の現状

  • 65歳以上の人口:3619万人(男性1568万人、女性2051万人)
  • 総人口に占める割合:29.4%(過去最高)
  • 前年比で総数は5万人減(1950年以降2回目の減少)

人口が減少に転じつつも高齢化率は上昇を続けています。国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、2040年には3928万人、総人口の34.8%にまで増加すると予測されています。

世界の国々と比べても、日本の高齢化は突出しています。2位のイタリア(25.1%)、3位のドイツ(23.7%)を大きく上回り、特に75歳以上の割合が17.2%と極めて高いのが特徴です。


働く高齢者が増える背景

総務省の労働力調査によると、65歳以上の就業者は930万人。これは21年連続の増加であり、以下の背景が考えられます。

  1. 健康寿命の延伸
    医療の進歩や生活習慣の改善により、元気に働ける高齢者が増えている。
  2. 働き手不足の深刻化
    少子化の影響で生産年齢人口が減少し、企業がシニア層の力を必要としている。
  3. 年金や生活資金の不安
    年金だけでは生活が厳しいケースも多く、収入を補うために働き続ける人が増えている。

実際に、65歳以上の被雇用者は563万人。このうち約8割がパートや契約社員など非正規雇用であり、就業先は「卸売業・小売業」が最多でした。


課題:労災と生活支援

働くシニアが増える一方で、課題も顕在化しています。

  • 労災リスクの高さ
    年齢が上がるほど労災発生率は高くなる傾向にあり、対策が急務です。2025年5月に改正労働安全衛生法が成立し、高齢者の労災防止に向けた作業環境改善が事業者の努力義務となりました。
  • 単身高齢者の増加
    一人暮らしの高齢者が多く、生活支援や住まいの確保も大きな課題。介護や医療とあわせて、地域社会での支え合い体制の強化が求められます。

今後の展望 ― 「活躍」と「支援」の両立へ

今後、日本社会が直面するのは「高齢者をどう活かすか」と「どう支えるか」の両立です。

  1. シニアの就労環境整備
    • 体力に応じた柔軟な勤務体制
    • 安全対策の強化
    • スキルを活かした教育や地域活動への参加
  2. 生活支援と住まいの確保
    • 高齢者住宅やサービス付き高齢者向け住宅の整備
    • 地域包括ケアシステムの拡充
  3. 世代間のバランス
    • 若い世代の就業機会との調和
    • 年金・医療制度の持続可能性確保

まとめ

高齢者が社会の大きな割合を占める「超高齢社会」は、リスクとチャンスの両面を持っています。
「高齢者=支えられる存在」というイメージから、「高齢者=社会を支える担い手」へと発想を転換することが求められています。

そのためには、働きやすい環境づくりと同時に、安心して暮らせる生活基盤の整備が欠かせません。
私たち一人ひとりが、このテーマを「自分ごと」として捉えることが、未来の日本を形作る第一歩になるのではないでしょうか。


📌 参考:日本経済新聞(2025年9月15日朝刊)


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降もよろしくお願いします。

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