家計は「変化の前後」で見直す――ライフイベントが教えてくれるお金の使い方

FP
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家計の見直しというと、年末や年度末といった決まった時期を思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、実際にはもっと重要なタイミングがあります。それが、生活に変化が生じた前後です。
引っ越し、働き方の変化、家族構成の変化、そして退職など、ライフイベントはお金の流れを大きく変えます。家計を点検するうえでは、こうした変化を見逃さないことが欠かせません。

ライフイベントは家計の前提を変える

ライフイベントが起きると、収入や支出の金額だけでなく、家計の前提そのものが変わります。例えば、通勤がなくなれば交通費や外食費は減りやすくなります。一方で、自宅で過ごす時間が増えれば、光熱費や日常の消費は増えるかもしれません。
重要なのは、以前の生活を基準にした家計管理を続けてしまわないことです。変化が起きた時点で、家計の前提も見直す必要があります。

退職前後で変わる家計の考え方

特に大きな転換点となるのが、退職前後です。多くの人は、収入が減ることに強い不安を感じますが、同時に支出の構造も変わる点を見落としがちです。
現役時代には必要だった仕事関連の支出や交際費が減る一方で、健康管理や住環境に関する支出の重要性は高まります。収入の減少だけに注目するのではなく、「どの支出がこれからの生活を支えるのか」を整理する視点が欠かせません。

減らす支出と残す支出を整理する

ライフイベント後の家計点検では、まず減らす支出と残す支出を分けて考えます。ここで重要なのは、単に金額が大きいか小さいかではなく、その支出が今後の生活に必要かどうかです。
惰性で続けてきた支出は、生活の変化によって意味を失っていることがあります。一方で、これからの生活において欠かせない支出もあります。この整理が、家計への納得感を高めます。

一時的な赤字を過度に恐れない

ライフイベントの前後では、引っ越し費用や住環境の整備など、一時的に支出が増えることがあります。その結果、一定期間、家計が赤字になることも珍しくありません。
この場合も、赤字であること自体を問題視する必要はありません。重要なのは、その支出が一時的なものなのか、継続的な負担になるのかを見極めることです。原因が分かっていれば、過度な不安を抱える必要はありません。

家計を「今の生活」に合わせ直す

ライフイベント後の家計管理で大切なのは、これまでの家計を守ろうとしすぎないことです。家計は固定されたものではなく、生活に合わせて変えていくものです。
変化を受け入れ、「今の生活に合ったお金の使い方になっているか」を確認することが、この点検の目的です。

次の変化を見据える

ライフイベントは一度きりではありません。今後も、体力や価値観の変化など、さまざまな変化が訪れます。今回の点検を通じて、変化が起きたときに家計を見直すという考え方を身につけておくことが、将来の安心につながります。

結論

家計は、安定しているときよりも、変化が生じたときにこそ見直す意味があります。ライフイベントの前後で立ち止まり、今の生活に合った家計になっているかを確認することで、将来への不安は整理しやすくなります。
これまでの家計に固執するのではなく、これからの生活に合わせて整え直す。その姿勢が、長い人生を見据えた家計管理の土台になります。

参考

  • 日本経済新聞「<ステップアップ>家計簿使わず支出振り返り」
  • 日本経済新聞「<ステップアップ>手間なく全体像を把握」

という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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