家計を見直そうとすると、「どこを削るべきか」「無駄をなくさなければならない」と考えがちです。その結果、振り返りが苦しい作業になり、家計管理そのものから距離を置いてしまう人も少なくありません。
そこで役立つのが、支出を「消費・浪費・投資」という三つの視点で整理する方法です。この考え方は、家計を引き締めるためのものではなく、自分のお金の使い方に納得感を持つための整理です。
「消費」とは何か
消費とは、生活を維持するために必要な支出です。食費、日用品費、光熱費、医療費などが代表例です。これらは、生きていくうえで避けることができない支出であり、一定額がかかるのは自然なことです。
消費を過度に削ろうとすると、生活の質が下がり、不満がたまりやすくなります。まずは「この金額で生活できているか」「無理をしていないか」という視点で確認することが重要です。
「浪費」は必ずしも悪ではない
浪費という言葉には、否定的な印象があります。しかし、気分転換や楽しみのための支出がすべて悪いわけではありません。外食や趣味、ちょっとした贅沢があるからこそ、日常が成り立つ場合もあります。
問題になりやすいのは、使ったあとに後悔が残る支出です。衝動的に買ってしまったものや、使わないまま終わったサービスなどは、浪費として振り返る対象になります。
「投資」は将来や生活につながる支出
投資というと、株式や投資信託などの金融商品を思い浮かべる人も多いでしょう。しかし、家計を整理するうえでの投資は、それだけではありません。
健康維持のための運動、仕事や生活に役立つ学び、日常を快適にする道具など、継続的に価値を生む支出も投資に含まれます。金額が高くても、生活の満足度を高めているのであれば、その支出は意味のあるものです。
三つに分けると見えてくるもの
支出を消費・浪費・投資に分けて考えると、「減らすべき支出」と「残したい支出」が自然と整理されます。重要なのは、他人の基準ではなく、自分自身がどう感じているかです。
同じ金額でも、人によって消費になることもあれば、投資になることもあります。家計管理では、この違いを意識することが欠かせません。
責めるのではなく、理解する
この整理の目的は、過去の支出を責めることではありません。「なぜそのお金を使ったのか」「その結果、何を得たのか」を理解することにあります。
理解が進むと、次に同じ場面が訪れたときの判断がしやすくなります。結果として、後悔の残る支出は自然と減っていきます。
定期点検としての位置づけ
消費・浪費・投資の整理は、半年に一度や年末など、定期的に行うのが適しています。一度きりで終わらせず、生活の変化に合わせて見直すことで、家計への納得感は保たれます。
家計管理を続けるためには、「正しさ」よりも「続けやすさ」が重要です。
結論
家計管理は、節約を競うものではありません。消費・浪費・投資という視点で支出を整理することで、自分なりに納得できるお金の使い方が見えてきます。
すべての浪費をなくす必要はなく、すべての投資を増やす必要もありません。大切なのは、振り返ったときに意味があったと言える支出を大切にすることです。
参考
- 日本経済新聞「<ステップアップ>家計簿使わず支出振り返り」
- 日本経済新聞「<ステップアップ>手間なく全体像を把握」
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
