年末に1年の家計を振り返ったあと、「なんとなく分かった気はするが、これで十分なのだろうか」と感じる人も少なくありません。そうしたときに有効なのが、年度末というもう一つの節目です。
年度末は、家計を改めて点検し、次の一年に向けて整え直すのに適したタイミングです。ここで行うのは、細かい反省ではなく、思っていた家計と実際の家計のズレを確認する作業です。
年度末は「答え合わせ」の時期
年度末の家計点検は、いわば答え合わせです。年初に明確な家計予算を立てていなくても、「今年はこのくらいで収まるだろう」「昨年と同程度だろう」といったイメージは多くの人が持っています。
そのイメージと実際の数字を比べることで、家計のズレが見えてきます。このズレを把握することが、年度末点検の出発点です。
支出が膨らみやすい項目を確認する
まず確認したいのは、想定よりも増えやすかった支出です。特に影響を受けやすいのは、食費、交際費、趣味や娯楽費など、生活の状況や物価変動によって左右されやすい項目です。
クレジットカードの利用明細や通帳の入出金履歴を見返し、「思っていたより多かった項目」「逆に抑えられていた項目」を拾い出すだけでも、家計の特徴が浮かび上がります。
固定費と変動費に分けて考える
次に、支出を固定費と変動費に分けて見てみましょう。住居費、通信費、保険料などの固定費は、毎月一定額が出ていくため、見直しの意識が薄れがちです。年度末は、これらが今の生活に合っているかを確認する良い機会です。
一方、変動費は調整しやすい反面、我慢しすぎると生活の満足度を下げてしまいます。削減すること自体を目的にせず、「納得して使えているか」という視点で見ることが重要です。
赤字でも問題とは限らない
年度末に収支を確認し、赤字だったとしても、すぐに問題だと判断する必要はありません。旅行や家電の買い替えなど、特別な支出が重なった結果であれば、それは計画外の失敗ではなく、生活上の選択の結果です。
大切なのは、その支出に納得できているかどうかです。納得できていれば、年度の収支が赤字であったとしても、家計管理としては大きな問題ではありません。
ズレの原因を整理する
年度末点検で意識したいのは、ズレの原因を整理することです。収入が想定より少なかったのか、支出が増えたのか、あるいはその両方なのかを確認します。
すべてを一度に修正しようとする必要はありません。ズレが大きかった部分に絞って見直すだけで、次年度の家計は整えやすくなります。
来年度に向けた微調整を考える
ズレが見えたら、来年度に向けた微調整を考えます。大きな目標を立てる必要はなく、「この項目は少し抑える」「ここは引き続き大切にする」といった方向性を決めるだけで十分です。
年度末の点検は、家計を締め付けるためではなく、次の一年を無理なく過ごすための準備です。
結論
年度末の家計点検は、反省会ではありません。思っていた家計と現実の家計のズレを確認し、次年度に向けて整えるための作業です。
家計簿がなくても、明細や残高を見ながら全体像を確認することで、自分なりの家計の傾向が見えてきます。その気づきが、次の一年を支える基盤になります。
参考
- 日本経済新聞「<ステップアップ>家計簿使わず支出振り返り」
- 日本経済新聞「<ステップアップ>手間なく全体像を把握」
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
