株高がもたらす消費の二極化 高額品が売れる背景と家計への影響

FP
緑 赤 セミナー ブログアイキャッチ - 1

日経平均株価が5万円を突破し、株高による資産効果が個人消費に広がっています。百貨店や高級車市場では高額品の売れ行きが好調で、宝飾品や高級時計、輸入車などの販売が前年を大きく上回っています。一方で、物価高や実質賃金の伸び悩みから、生活必需品では節約志向が続き、個人消費の二極化が一段と鮮明になっています。

資産価格の上昇は家計にどの程度プラスの効果をもたらし、消費行動にどのような違いを生んでいるのでしょうか。本稿では、株高がもたらす消費の変化とリスク、そして今後の視点を整理します。

1. 高額消費が急拡大する百貨店と高級ブランド

株高の恩恵を受ける層を中心に、高額品消費が明確に伸びています。

  • 松屋銀座の宝飾品売上は前年比約2.5倍
    記念需要やイベント効果も加わり、高級時計も6割超の伸びとなりました。
  • 高島屋の外商部門も堅調
    500万円〜1000万円帯の高級時計、1000万円超の宝飾品が売れ、外商顧客の動きが活発になっています。
  • 三越伊勢丹HDは富裕層の年間購入額見通しを60億円上方修正
    年300万円以上消費する顧客層の動きが前年よりも強まっています。

百貨店の高額品は、景気感応度が高い分野ですが、株高により富裕層の心理が改善し購買意欲が高まっていることが分かります。


2. 超高級車市場にも追い風

輸入高級車も過去にない好調さを見せています。

  • フェラーリ:単月販売台数が過去最高
  • ロールス・ロイス:前年同月比64%増
  • ランボルギーニ:通年で過去最高見通し

新車価格が2000万円を超える車種が中心ですが、株高の資産効果を受けた層が積極的に購入しています。


3. 株高による資産効果はどれほどか

野村証券の試算では、日経平均が4万8000円程度を維持した場合、半年で 家計の株式・投信残高が約50兆円増える と見込まれています。
その結果、

  • 個人消費を約1.5兆円押し上げる効果
    が期待されます。

国内消費は年340兆円規模のため、0.4ポイントほどの押し上げとなります。

特に利益を享受しやすいのは

  • 40代〜70代で金融資産を厚く保有している層
    であり、この層の購買行動が高額消費を支える構図です。

4. 一方で強まる節約志向

高額品市場とは対照的に、多くの家庭では節約が続いています。

  • ブラックフライデーでは小売各社が「半額セール」を強化
  • 旅行を「控える」と答えた人は75%
  • 旅行費用の高騰や家計負担を理由に挙げる割合が高い

実質賃金の伸び悩みが続くなか、株高の恩恵を受けない層では節約の動きが根強く、消費行動は大きく分かれています。


5. 消費二極化の背景

なぜここまで差が広がるのでしょうか。

  1. 金融資産の偏在
    日本では金融資産の多くが60代以上に集中しています。株価上昇の恩恵は中高年層に偏りやすく、中間層には波及しにくい構造です。
  2. 物価上昇と賃金のギャップ
    生活必需品の価格上昇が続き、可処分所得を圧迫しています。
  3. 将来不安による貯蓄優先
    老後資金や物価上昇への備えとして貯蓄志向が続き、消費が伸びない層が多くみられます。

6. 今後の焦点:26年春季労使交渉

株高がもたらす高額消費は一部の層に限定されやすいため、個人消費全体の底上げには賃上げが不可欠です。

  • 2026年春闘でどこまで賃上げが進むか
  • 名目賃金と物価の関係が改善するか
  • 中間層の消費余力が戻るか

これらが、来年以降の消費回復のカギを握ります。


結論

株高を背景に、高額品市場がかつてない活況を呈しています。富裕層や金融資産を多く持つ層を中心に宝飾品、高級時計、輸入車、海外旅行といった分野で需要が高まり、個人消費を押し上げています。しかしその一方で、生活必需品への節約志向は広がり、消費の二極化がより鮮明になっています。

資産効果が中間層に広く波及しない限り、日本全体の消費回復は力強さを欠く可能性があります。持続的な消費拡大には、賃上げと家計の将来不安の解消が重要な課題となります。


参考

・日本経済新聞「株高で高額消費活況 消費増効果1.5兆円試算も」(2025年12月8日朝刊)


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

タイトルとURLをコピーしました