iDeCoは税制メリットが大きい反面、商品選定をすべて自分で行う必要があります。このため、DCと同様に“見せかけの分散”に陥る加入者が少なくありません。特に、
- 多数のファンドを保有して満足している
- バランス型と日本株を重複保有している
- 債券とREITの配分が極端
といったケースはよく見られます。
本稿では、iDeCoで「本当の分散」を実現するための実務的なチェックポイントを解説します。
1. 基本となる分散の軸
iDeCoで意識すべき分散はシンプルです。
主な4資産:
- 国内株式
- 海外株式
- 国内債券
- 海外債券
これにREITを加える場合もありますが、まずは4資産の相関関係が最も重要です。
● よくある誤解
「ファンド数が多い=分散」ではありません。
資産クラスが似ていれば、値動きも似ます。
2. iDeCoで避けたい“見せかけ分散”
(1)バランス型との重複
例:
- バランス型(国内+海外)
- 海外株式インデックス
この組み合わせは、海外株式比率が過度に高くなることがあります。
(2)アクティブ型の重複保有
- 日本株アクティブA
- 日本株アクティブB
- バランス型に含まれる国内株式
意図せず“日本株への過集中”になります。
(3)債券比率が極端
債券をほとんど入れないケースや、逆に債券だけに偏るケースも見られます。
3. 分散を整える実務的アプローチ
(1)全世界株式1本+債券1本
もっともシンプルで成功率が高い構成です。
例:
- 全世界株式インデックス:70%
- 国内債券または先進国債券:30%
(2)ターゲットデート型1本
iDeCoでもターゲットデート型を選べる金融機関が増えています。
自動で比率調整されるため、長期運用と相性が良い選択肢です。
(3)4資産均等型を活用
各資産が自動調整されるため、保有後の手間が少なくバランスを維持しやすい仕組みです。
4. チェックポイント:あなたのiDeCoは本当に分散されている?
次の項目を確認すると、偏りを発見しやすくなります。
- バランス型と単独ファンドが重複していないか
- 日本株・米国株の比率が極端になっていないか
- 国内外の債券が適切に入っているか
- 手数料(信託報酬)が適正か
- リスク許容度と老後の資金計画に合っているか
iDeCoは“節税だけが目的”と考える人もいますが、長期の運用成果を最大化するには分散が不可欠です。
結論
iDeCoは、自分で商品を選ぶ楽しさがある反面、分散が崩れやすいという特徴があります。バランス型との重複や、同じ資産クラスでの複数保有は「見せかけ分散」を招き、長期の運用リターンに悪影響を与える場合があります。
本当の分散を実現するには、商品の数ではなく資産クラスの組み合わせを重視し、ポートフォリオ全体の相関関係を理解することが重要です。ターゲットデート型や全世界株式+債券など、シンプルな構成こそ長期運用に向いています。
参考
- iDeCo公式サイト
- 金融庁 投資信託ガイド
- 日本経済新聞 記事
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
