年末が近づくと、忘年会や新年会の予定が話題に上ります。かつては「行って当たり前」とされていた職場飲み会ですが、新型コロナウイルス禍を経た今、若い世代を中心にその位置づけが大きく変わってきています。
最近の調査では、若者の約6割が「職場の飲み会は必要ない」と答えており、企業側も従業員側もこれまでの常識を見直す時期にきているようです。
この記事では、職場飲み会がなぜ縮小しているのか、背景にある働き方や価値観の変化を整理しながら、企業・管理職・若手それぞれがどのように「コミュニケーションの最適解」を探していけばよいのかを考えます。
● 若者の「飲み会離れ」は本当に進んでいるのか
近年、職場の飲み会の開催率は減少傾向にあります。とくに忘年会・新年会の実施率は、コロナ禍で落ち込んだ後も回復しきっていません。
調査によれば、2025年度に年末年始の飲み会を予定する企業は約六割にとどまり、コロナ前の「八割」に近づく気配はありません。
若年層の意識調査では、飲み会が職場の人間関係構築に「効果的ではない」と答える割合が過半数を超えました。これは単なる「お酒の嗜好」の問題ではなく、時間・お金・気力のコストに釣り合う価値を感じにくいという構造的な変化が背景にあります。
● 働き方の多様化が「義務的飲み会」を溶かした
終身雇用や年功序列型の雇用モデルが強かった時代、企業と従業員の関係は“家族的”と表現されるほど密でした。同僚・上司との飲み会は、
- 人間関係づくり
- 評価や情報の共有
- 非公式な学びの場
として合理的に機能しており、「参加して損がない」仕組みが働いていました。
しかし現在は、
- 転職の一般化
- 副業・フリーランスの増加
- ジョブ型雇用の広がり
などによって企業への帰属意識は相対的に低下しています。
「数年働いたら次に進む」
「スキルでキャリアを作る」
と考える若者にとって、飲み会の必要性は以前よりも低くなっているのです。
● 若者が求めているのは「就業時間内の雑談」
興味深いのは、若い世代がコミュニケーションそのものを拒否しているわけではない点です。
新入社員への調査では、交流の手段として
- 就業時間内の雑談
- 気軽な相談のしやすさ
などが上位に挙げられ、飲み会は必ずしも必要条件ではないことがわかります。
つまり、飲み会でなくとも、安心して話せる場・距離の近さ・学びの機会があれば良いということです。
飲酒を前提としない「透明性の高いコミュニケーション」を求める傾向が強くなっているとも言えます。
● 飲み会の価値が完全に失われたわけではない
その一方で、飲み会をきっかけに仕事のヒントやアドバイスを得たと感じる若手も一定数存在します。「疲れる」「行きたくない」と口にしつつも、参加後に「行ってよかった」と感じる瞬間があるのも事実です。
重要なのは、
“参加するメリットが具体的に存在するかどうか”
です。
もし飲み会が
- 学びや成長につながる経験
- キャリアのヒントを得られる場
- 相談しやすい人間関係の構築
につながると若手が感じられれば、必要性は変わってきます。
単なる「慰労の場」ではなく、仕事や成長とひもづいたコミュニケーション設計が求められています。
● 企業が考えるべき「次世代のコミュニケーション設計」
飲み会の参加率が下がるのは、決して悲観すべき現象ではありません。企業にとっては、「旧来の飲み会」以外の手段で従業員のエンゲージメントを高めるチャンスでもあります。
企業がこれから取り組むべき方向性としては次のようなものが考えられます。
1. 就業時間内の交流の質を高める
雑談や相談がしやすい環境づくりは、若者のニーズに合致しています。
2. 学びの場としての「テーマ型交流会」を設計する
単なる飲み会ではなく、キャリア・専門性・部署理解などテーマを持たせることで参加意義が生まれます。
3. 飲める人と飲めない人の線引きをなくす
ノンアルコール前提のイベントや昼食会など、多様性に配慮した場づくりが信頼感につながります。
4. 参加はあくまで「自由」
強制に近い雰囲気は若い世代に最も嫌われます。選択の自由こそが企業の信頼を生む時代です。
結論
職場の飲み会は、かつてのように「参加して当たり前」ではなくなりました。しかし、だからといって飲み会の価値が完全に消えたわけではありません。
若者が求めているのは”飲み会の文化”ではなく、仕事のやりがいや成長につながるコミュニケーションです。
人手不足が続くなか、企業に求められるのは、従業員一人ひとりが働きやすさと成長を実感できる環境づくりです。飲み会はその一手段にすぎず、目的に応じて柔軟に選択していくことが、これからの組織にとって不可欠になります。
参考
・日本経済新聞「飲みノミクス(上)若者6割『職場飲み不要』」(2025年12月3日)
・各種意識調査(若年層の職場コミュニケーションに関する調査 ほか)
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
