先日の日経新聞の朝刊に「NISA、運用資産見直し」という記事が載っていました。
今回も引き続き、こちらの記事について考えてみたいと思います。
(なお、この件については全6回のシリーズで書かせていただき、今回はその第4回となります。)
さて、NISAのスイッチング解禁は、多くの投資家にとって朗報です。
しかし、「非課税枠が復活するから安心」と思って、むやみに資産を入れ替えると、かえって投資成果を下げてしまうリスクもあります。
今回は、スイッチングを利用する際に注意すべき「落とし穴」を整理します。
1.頻繁な売買は成果を損なう
スイッチングが自由になれば、ちょっとした相場の動きで「売って買い直す」を繰り返したくなるかもしれません。
しかし、これは長期投資の大原則に反します。
・短期的な値動きに振り回される
・再投資のタイミングを外しやすい
・長期で見れば市場は成長しても、頻繁な売買でリターンを削る
→「長期方針に沿った調整」にとどめるのが鉄則です。
2.手数料・スプレッドの影響
NISAは非課税ですが、売買そのものにコストは発生します。
・投資託の信託財産留保額
・外国株式の為替スプレッド
・商品によっては購入手数料
スイッチングを繰り返すと、知らぬ間に手数料コストが積み重なり、リターンを圧迫する可能性があります。
4.相場の「天井」と「底」を読めない
「下がりそうだから売っておこう」
「上がりそうだから買い戻そう」
こうした相場予想はプロでも難しいものです。
結果的に、
・安値で売って高値で買い戻す
・相場上昇の波に乗り遅れるという逆効果になりがちです。
→スイッチングは「相場の予想」ではなく、「ライフプランの変化」に合わせて行うのが賢明です。
5.投資目的を見失う
NISAの本来の目的は「長期・積立・分散」による資産形成です。
それなのに、
・毎月の収益を狙った「短期売買」
・相場の変動に合わせた「過度なポートフォリオ変更」に使ってしまうと、制度の強みを生かせません。
→「何のために投資しているのか?」を常に意識しながらスイッチングを検討する必要があります。
6. まとめ
スイッチングは便利ですが、落とし穴もあります。
・頻繁な売買は成果を下げる
・手数料・スプレッドでコストがかかる
・相場予想に頼ると失敗する
・投資目的を見失う危険
NISAのスイッチングは、投資の「リセットボタン」ではなく、人生設計に合わせた「調整ボタン」と考えるのが大切です。
上手に使えば強力な味方になりますが、誤用すれば逆効果になりかねません。
ということで、今回は以上とさせていただきます。
次回(第5回)は「暗号資産と NISA-どう変わる?資産形成の新しい選択肢」をテーマに、税制改正要望で示された暗号資産の金融所得課税化の動きと、NISAとの関係について掘り下げます。
次回以降も、よろしくお願いいたします。
注意!スイッチングの落とし穴
FP