惑う30代の家計(上)教育費の“前倒し化”が家計を圧迫する時代

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かつて「教育費は小学校卒業までが貯めどき」と言われてきました。しかし今は、その“貯めどき”が小学校中学年にまで短縮され、教育費が早期化・長期化する構造へと変化しています。30代の子育て世代は、働きやすい環境整備が進む一方で、教育関連費の増加という新たな課題に直面しています。

本稿では、教育費が前倒し化する背景と家計への影響、そして30代の家庭が取れる対策のヒントを整理します。

1. 習い事・塾通いの年齢低下が進行

近年、子どもが塾や習い事に通い始める時期がどんどん早くなっています。
ファイナンシャルプランナーの内藤眞弓氏は、従来は「小学校卒業までが貯めどき」だったものが、最近は「小学校中学年までに短縮された」と説明しています。

背景には次のような流れがあります。
・中学受験で「思考力・表現力」が重視され、土台づくりが早期化
・小学校受験・中学受験の競争激化
・低年齢向けの学習塾や習い事コースの拡充
・共働き世帯の増加による「教育投資の前倒し」

子どもが年々で塾に入るケースも珍しくなくなっており、家庭の教育費負担は従来より早く始まっています。

2. 小学校受験という“リスク回避戦略”

東京都内では、小学校受験を「中学受験の負担を避けるための選択」と位置づける家庭も増えています。

ある家庭では、年中で既に月4万円弱の塾に通わせており、理由として
・中学受験は親子の拘束時間が大きい
・塾代の上昇が続いている
・早期に教育環境を確定させたい
といった声が聞かれます。

30代の親が共働きで忙しいからこそ、“より早く・より軽い負担で”教育環境を整えたいという心理が強まっているといえるでしょう。

3. 教育費の前倒しは家計にどう影響するか

教育費が前倒し化すると、家計は次のような影響を受けます。

(1)貯蓄ペースが落ちる

本来なら貯められていた時期に教育費が発生するため、資産形成のスピードが鈍化します。

(2)住宅購入・老後資金の準備が圧迫される

教育費と住宅費・老後資金の3つを同時に準備するのは難しく、優先順位の調整が必要になります。

(3)キャリア形成と教育支出の両立が難しくなる

教育投資が早期化するほど、親の就労状況が重要になります。特に女性のキャリアが中断すれば、教育費負担が長期的な家計の重荷になります。


結論

教育費の「前倒し化・長期化」は、30代の家計に新しいリスクをもたらしています。従来の「小学校卒業まではゆっくり貯められる」という常識は通用しなくなり、出産直後から計画的に資金を準備する必要があります。

早い段階で、
・教育費の総額を把握する
・優先順位をつける
・夫婦の働き方を長期視点で考える
といった対策が家計の安定に欠かせません。


出典

・日本経済新聞「惑う30代 成長の盲点(中)」
・栄光ゼミナール資料
・総務省統計
・FP内藤眞弓氏コメント

という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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