最新のスマートフォンは年々価格が上昇しており、特にiPhoneやAndroidのハイエンド機種では20万円前後が当たり前になりつつあります。家計にとって負担が大きい一方、大手通信会社が力を入れているのが「残価設定型プラン」です。月々の支払いを抑えつつ端末を利用できる仕組みですが、その一方で注意点も少なくありません。
この記事では、残価設定型プランの基本的な仕組みからメリット・デメリットまでを整理し、使うべき人・使わない方が良い人の違いをわかりやすく解説します。
残価設定型プランとは
残価設定型プランは、購入したスマホを1~2年後に通信会社へ返却する前提で、あらかじめ「残価(下取り額)」を設定する方式です。
端末代金から残価を差し引いた金額のみを分割払いするため、毎月の負担を抑えられるのが特徴です。
仕組みそのものは、自動車の残価設定クレジット(残クレ)に近く、形式的にはスマホを購入し、通信会社と割賦契約を結ぶ点に注意が必要です。
具体例(ドコモ「いつでもカエドキプログラム」)
例として、端末代金10万5500円、残価4万8000円のモデルを考えます。
- 端末代金 10万5500円
- 残価 4万8000円
- 差額の 5万7500円を23カ月で支払い(月約2500円)
23カ月目に端末を返却すれば残価の支払いは免除され、5万7500円の負担で約2年間利用できる仕組みです。
途中で返却したり、24カ月以降も使い続けたりする場合は、通信会社のルールに従って「追加の支払い」や「残価の再分割」が自動的に行われます。
メリット:1〜2年ごとの買い替えが容易
残価設定型プランが向いている人は、次のようなタイプです。
- 毎年、または2年ごとに新しいスマホへ買い替えたい
- 初期負担をできるだけ抑えたい
- 最新モデルを短いスパンで楽しみたい
こうした人にとって、月々4000円前後の支払いで最新モデルを使える点は大きな魅力です。
デメリット:長期利用には不向き
一方、購入後3〜4年以上使う予定の人には向きません。理由は次の通りです。
- 長く使うほど支払い総額が高くなりやすい
- メーカー直販や通常の分割払いのほうが総額が安くなるケースが多い
- 中古買取業者に売却したほうが「残価」より高額で買い取られる可能性がある
残価設定型プランは実質的に「短期間の端末レンタル」に近い性質があり、長期利用の人には割高な仕組みになります。
傷・破損で追加請求のリスク
返却時に傷や画面割れがあると追加支払いが発生します。
日常的にケースやフィルムをつけずに使う人は、返却時の費用が増えるリスクがあります。
信用情報に関わる点に注意
残価設定型プランは割賦契約のため、通信会社は信用情報機関(CIC)に照会します。
- 過去にクレジットカードの延滞があると契約できない場合がある
- 毎月の支払いが滞ると信用情報に傷がつく
- クレカの新規申込や住宅ローン審査に影響する可能性もある
スマホの支払いだからと油断せず、クレジット契約と同様の注意が必要です。
「使うべき人」「使わない方が良い人」
残価設定型プランを使うべき人
- 1〜2年ごとに確実に買い替える
- 新しいモデルを常に使いたい
- 初期負担を抑えたい
残価設定型プランを避けた方が良い人
- 同じ端末を3〜4年以上使う
- 返却時の傷・破損リスクを避けたい
- CICの信用情報に関する契約が気になる
- 中古買取で手元の端末を売却したい
結論
残価設定型プランは、短いサイクルでスマホを買い替える人にとっては魅力的な選択肢です。一方、長く使う人にとっては総額が高くなる傾向があり、メーカー直販での一括購入や通常分割払いのほうが結果的に安くなるケースが多く見られます。
スマホを「何年使うつもりなのか」が判断の分かれ目です。
自身の使い方や交換頻度を踏まえ、最も納得のいく購入方法を選ぶことが大切です。
出典
・日本経済新聞「スマホ端末『残価設定』の損得」(2025年11月22日)
・総務省発表資料
・通信会社各社公開情報(ドコモほか)
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。

