近年は、世界情勢の変化が株式市場に与える影響が大きくなっています。
ウクライナ情勢、台湾海峡、インド太平洋の安全保障、宇宙開発競争、インフラ老朽化──
こうした地政学テーマは、長期で見ても無視できない投資分野になりました。
その一方で、地政学テーマは“短期で急騰・急落する”リスクも大きく、個別株では扱いにくい領域です。
そこで活躍するのが アクティブETF です。
本記事では、アクティブETFを使って地政学テーマをどう取り込むべきか、実践的な視点で整理します。
1. 地政学テーマは「長期構造変化」を反映する投資領域
地政学テーマには、短期イベントとしての側面もありますが、本質は
“長期構造変化(構造トレンド)”にある と言われています。
代表的な構造トレンド
- 世界的な防衛費の増大
- 宇宙産業の民間化・商業化
- 5G/6Gによる通信インフラ刷新
- 古いインフラの更新(アメリカは特に顕著)
- 半導体・AI分野の“国防化”
- 地政学リスクによるサプライチェーン再編
これらは10〜20年レベルの長期トレンドです。
2. アクティブETFと地政学テーマの相性が良い理由
● 理由①:銘柄選定を任せられる
地政学テーマは専門性が高く、
- どの企業が利益を得るか
- 政策の恩恵を受ける企業はどこか
- 防衛産業で実際に伸びる分野は?
を個人が判断するのは困難です。
アクティブETFは専門家が銘柄を絞り込むため、個別株よりリスクが低くなります。
● 理由②:テーマ内の“偏り”を自動調整
防衛・宇宙・インフラは銘柄の上下が大きく、ETFなら次のような分散が効きます。
- 防衛 × 通信 × 宇宙 × インフラ
- 米国 × 欧州 × 日本
- 大型 × 中型
偏りすぎた個別株リスクを抑えるのがETFの強みです。
● 理由③:政策変更や地政学イベントに迅速に対応
アクティブETFは運用者が銘柄を入れ替えるため、
政策の方向性やニュース変化に合わせて“自動で調整”されます。
3. 地政学テーマの代表的なアクティブ領域
■ ① 防衛
- 航空・ミサイル・電子戦
- 日本・米国の防衛予算増加
- セキュリティ企業も含む広いテーマ
■ ② 宇宙
- 衛星通信
- ロケット発射
- 地球観測・測位サービス
- 軍事×宇宙(デュアルユース)の成長
■ ③ インフラ
- 電力網
- 通信インフラ
- 道路・橋・水道
- 再エネ関連設備
特にインフラは“景気に左右されにくい”ため、長期投資の安定領域としても有効です。
4. 地政学テーマは“全力投資”してはいけない理由
- イベント性が強く急騰・急落しやすい
- 値動きが大きい(ボラティリティ高)
- ニュースによる短期変動が激しい
- 政府の政策変更による不確実性がある
アクティブETFを使っても、
全体ポートフォリオの10〜20%程度にとどめる のが現実的です。
5. 地政学テーマを使った“実践配分モデル”
初心者
- 全体の5〜10%
→ 地政学テーマの1 ETFだけ保有
中級者
- 全体の10〜20%
→ 防衛 + インフラで分散
上級者
- 全体の20〜25%
→ 防衛 + 宇宙 + インフラの3テーマ
結論
地政学テーマは短期のニュースに左右されやすい一方、長期構造トレンドを強く反映する重要な投資領域です。
アクティブETFを使うことで、専門性が高く扱いにくいテーマでも、リスクを抑えながら長期投資に取り込むことができます。
“少額で長期保有”という基本姿勢を守ることで、地政学の長期成長を安全に取りにいくことができます。
出典
・防衛費推移データ
・国際宇宙市場統計
・米国インフラ投資法関連資料
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
