SBIホールディングスが、米アライアンス・バーンスタインと組んで アクティブ型ETF(上場投資信託) を手がける新会社を設立します。アクティブETFは近年アメリカで急成長している商品で、日本でもようやく本格的に普及が始まろうとしています。
この記事では、アクティブETFとは何か、SBIが参入する意味、今後の投資家への影響について、一般の方にも分かりやすく整理します。
1. アクティブETFとは
ETFといえば、日経平均やS&P500など「指数に連動する(パッシブ型)」商品が一般的です。
一方、アクティブETFは 運用者が銘柄を選び、高いリターンを目指す投資信託 です。
ポイントは次のとおりです。
- 上場しているため、株のように取引時間中いつでも売買できる
- 組み入れ銘柄は運用者が選ぶ
- 指数以上のリターンを狙う
- コスト(信託報酬)はパッシブ型より高い傾向
米国ではすでに大きな市場となっており、2025年には本数ベースで指数連動型を逆転したと言われています。
2. SBIが参入する理由
SBIホールディングスは、若年層を中心に1500万超の証券口座を持ち、ネット証券として国内トップ級の地位を築いてきました。
次の成長エンジンとして力を入れているのが「資産運用事業」です。
今回の参入理由は主に3つあります。
- アクティブETFの市場成長を見込んでいる
日本では2023年に上場が解禁されたばかりですが、米国並みに普及する可能性があると見ています。 - 指数連動投信への“偏り”を解消したい
現在の日本では「オルカン」など低コストのインデックス投信一強の状態です。
商品の選択肢を増やすことで、より多様な運用ニーズに応えられると考えています。 - 運用残高の大幅拡大を目指している
現在の運用残高は約11兆円。これを 2028年3月までに20兆円 に増やす計画です。
新しいアクティブETFはその柱のひとつになります。
3. どんなETFが登場する予定か
SBIとアライアンス・バーンスタインが作る新会社は、2026年春に第1弾のアクティブETFを上場させる予定です。
予定されている商品は次のようなテーマ株です。
- 先端技術(AI、半導体など)
- エネルギー
- ヘルスケア
- 米国の高配当株
さらに2026年夏には、日本株を対象にしたアクティブETFの開発も進めます。
- メディア
- 通信
- 先端技術系の国内企業 など
将来的には米国市場での上場も視野に入れており、グローバル展開を前提にした商品づくりが進んでいます。
4. 個人投資家にとってのメリット・注意点
アクティブETFが増えることで、一般の投資家が享受できるメリットは大きいです。
メリット
- 上場しているため売買しやすい
- テーマ型銘柄に手軽に分散投資できる
- インデックスではカバーしきれない領域の成長を取り込みやすい
一方で、次のような注意点もあります。
注意点
- オルカンなどインデックス投信よりコストは高くなる
- 市場平均を上回るとは限らない(運用者の実力に左右される)
- 短期売買ではリスクが高くなる場合がある
ETFという形をとりますが、本質的にはアクティブ運用のため「中長期の視点」での活用が前提になります。
5. 日本の投信市場への影響
アクティブETFの本格普及は、日本の投資環境に次のような変化をもたらす可能性があります。
- インデックス投信一強から「選択肢の多様化」へ
- ETF市場の流動性が向上
- 個人投資家の投資スタイルの幅が広がる
- 地銀やSBI新生銀行などが組み込んだ投信を販売し、地方にも普及
SBIは今後、オルタナティブ資産やデジタル資産などにも領域を広げており、投資商品の多様化が一段と進みそうです。
結論
SBIホールディングスとアライアンス・バーンスタインの協業は、日本のアクティブETF市場の本格的な幕開けといえます。
既存のインデックス投信と比べるとコストは高くなる見込みですが、テーマ型投資や高配当株投資など、より積極的にリターンを狙いたい層にとって魅力的な選択肢となり得ます。
今後、どのようなETFが上場し、実際のパフォーマンスがどうなるか。
個人投資家にとっては、新しい商品をじっくり見極めながら、自分の投資方針に合った活用方法を考えることが重要になります。
出典
・日本経済新聞「SBIがアクティブETF」
・SBIホールディングス 決算資料・事業戦略関連資料
・アクティブETF市場関連データ(米国市場動向)
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
