退職金と老後資金の最終チェック iDeCo改正・退職所得控除・受け取り方で将来の手取りが変わる

FP
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定年が近い方だけでなく、40代・50代の働き盛りの世代にとっても、退職金と老後資金の準備は年末に一度見直しておきたい重要なテーマです。

2025年度はiDeCo(個人型確定拠出年金)の受け取りルールの改正が進み、退職所得控除の見直し案も議論されています。制度が変わる可能性が出てきた今こそ、早めに「自分に合った受け取り方」「老後資金の作り方」を把握しておくことが大切です。

本記事では、初心者の方でも無理なく理解できるよう、退職金・iDeCo・年金のチェックポイントを整理します。

1. 退職金は受け取り方で手取りが大きく変わる

退職金は大きなお金が一度に手元に入りますが、受け取り方によって税金が大きく変わります。

退職金の受け取り方法は主に次の3つです。

  1. 一時金で受け取る
  2. 年金形式で受け取る(退職年金)
  3. 一時金+年金の併用

初心者の方は、最初に 「退職所得控除」 を理解しておくと、判断がしやすくなります。


2. 退職所得控除の基本(勤続年数で控除額が増える)

退職金の税金は、まず「退職所得控除」を差し引いてから計算されます。

【退職所得控除額】

  • 勤続年数20年以下:40万円 × 勤続年数
  • 勤続年数20年超:70万円 ×(勤続年数 − 20年) + 800万円

例えば、勤続35年の場合の退職所得控除は、

  • 20年まで → 40万円 × 20年 = 800万円
  • 20年超15年 → 70万円 × 15年 = 1,050万円

合計 1,850万円 となります。

つまり、退職金が1,850万円以内なら税金はかからないことになります。


3. 政府が検討する「退職所得控除の見直し」とは?

近年の働き方の多様化を背景に、政府では退職金制度の見直しが議論されています。特に注目されているのが、

  • 勤続20年超の退職所得控除「70万円 → 40万円」へ縮小する案

です。

まだ確定ではありませんが、議論の方向性として「長く一社に勤める優遇を弱める」動きがあります。

将来改正された場合でも、すでに働いた勤続年数に影響を及ぼさないという方向性が想定されますが、今後も情報を確認することが重要です。


4. iDeCoは2025年から“受け取り方の自由度”が大きく向上

2025年度改正により、iDeCoの受け取りに関する以下の点が改善されます。

  • 受け取り開始時期が拡大(柔軟になる)
  • 受け取り期間の選択肢が増える
  • 一時金と年金併用の設計がしやすくなる

iDeCoは積立時に所得控除があるため、節税効果が非常に大きい一方、受け取り方を誤ると税負担が増える場合があります。

【ポイント】

  • 一時金で受け取る → 退職所得控除の恩恵が大きい
  • 年金で受け取る → 公的年金等控除が使える
  • 併用 → 税金と年金のバランスを取りやすい

退職金との組み合わせで「一時金枠を使い切るのか」「年金枠を活用するのか」を考えることが重要です。


5. 公的年金の受給方法も見直しておきたい

老後資金は退職金だけでなく、公的年金の受給開始時期によっても手取りが変わります。

  • 65歳より早く受け取る → 減額される
  • 65歳より遅く受け取る → 増額される(最大42%)

働く期間や健康状態、家計状況に応じて、受け取り開始時期を柔軟に調整することがポイントです。


6. 退職金+iDeCo+公的年金の「合計で考える」と最適解が見える

老後資金は次の3つを総合的に見ることで、より正しい判断ができます。

  1. 退職金(自社制度)
  2. iDeCo(私的年金)
  3. 公的年金(老齢年金)

例えば、退職金を一時金で受け取る場合、iDeCoの受取りは「年金形式」が有利になるケースがあります。
反対に、退職金が少ない人はiDeCoを一時金で受け取って退職所得控除を最大限使う方法も考えられます。


7. 年末に行うべき老後資金のチェックリスト

以下の項目を確認すれば、来年の準備は万全になります。

  • 退職金制度の種類(確定給付/確定拠出型)
  • 勤続年数から計算した退職所得控除額
  • iDeCoの受け取り方(年金/一時金/併用)
  • 公的年金の受給開始時期の希望
  • 老後の生活費(年間いくら必要なのか)
  • 生活防衛資金(6か月~1年分)の確保

年末の棚卸しとして取り組むことで、老後の不安を減らし、具体的な準備につながります。


結論

退職金・iDeCo・公的年金は、受け取り方次第で手取りが大きく変わります。

  • 一時金・年金の選択で税金が変わる
  • 退職所得控除の仕組みを理解することが重要
  • iDeCoの改正でより柔軟に受け取れるようになる
  • 老後資金は「退職金+iDeCo+公的年金」で総合判断する

40代・50代の方だけでなく、30代の方でも早めに制度を理解しておくことで、将来の備えを効率的に進められます。

年末の忙しい時期ですが、老後の安心につながる大切なテーマとして、無理のない範囲で確認してみてください。

出典

・厚生労働省「iDeCo制度」
・厚生労働省「退職所得控除」
・金融庁 公表資料
・各種公表データ・審議会資料


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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