年末までにまだ間に合う節税の一工夫 医療費控除・株式の損益通算・ふるさと納税上限の再確認で手取りを守る

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1年の終わりが近づくと、会社員の多くは年末調整を終え、所得税の手続きがひと段落した気持ちになるのではないでしょうか。しかし、所得税は1~12月の1年間で確定するため、年末までの過ごし方次第で税負担をさらに軽くすることができます。
本記事では、会社員・パート・家族持ちの方でも取り組みやすい「年末の節税策」を整理し、翌年の確定申告で受け取れる還付金を増やすための実践的なポイントを解説します。

1. 医療費控除は「年内の医療費計画」で差がつく

医療費控除は、1年間に支払った医療費が10万円(※所得200万円未満の場合は所得の5%)を超えると利用できます。
適用範囲は本人だけでなく、次の家族まで合算できます。

  • 同一生計の配偶者・子ども
  • 離れて暮らす親(※生活費を援助している場合)

年末時点で「あと少しで10万円を超えそう」という人は、以下のような費用の大きい治療を年内に済ませる判断が有効です。

  • 歯科治療(詰め物・被せ物・抜歯など)
  • 眼科・整形外科などの自由診療以外の治療
  • 通院のまとめ受診

領収書があれば確実ですが、マイナンバーカードを持っていればマイナポータルで1月以降の保険診療分を確認できます。
ただし注意点があります。

  • 反映は受診後2か月程度と遅い
  • 自由診療は表示されない
  • 年内の途中経過を健康保険組合から入手するのは困難

そのため、医療費控除を確実に使うなら医療費の領収書の保管がもっとも確実で、取りこぼしも防げます。

領収書を紛失すると再発行(領収証明書)は数百~千円規模の手数料がかかるため、管理を徹底したいところです。


2. 株式の「損益通算」で年末の税負担を調整する

2025年は株式市場が非常に強く推移した一方で、保有株を売却した際には譲渡益に20.315%の税金がかかります。
ここで役に立つのが損益通算です。

  • A株:100万円の売却損
  • B株:50万円の売却益

➡ この場合、B株の利益50万円はA株の損失で相殺されるため課税されません。

さらに、「株を売って利益を確定させたいが、長期保有したい銘柄を手放したくない」という場合は、

一度売却 → すぐ買い戻す

という方法が有効です(いわゆる「クロス取引」とは異なり、通常の売買の範囲で可能)。

【重要】年内扱いになるのは「12月26日成立分」まで

特定口座では、受渡日は約定日から2営業日後です。
そのため、

12月26日までに売買成立した株式だけが「今年の所得」に反映されます。

年末ギリギリだと翌年扱いになるため、実行するなら早めに検討することが重要です。


3. ふるさと納税の上限額は「控除が増えると下がる」

年末に駆け込みでふるさと納税をする人も多いですが、以下を見落とすと自己負担が増える可能性があります。

  • 医療費控除
  • 社会保険料控除
  • 生命保険料控除
  • 雑損控除

などの控除が増えると、所得金額が下がり、ふるさと納税の上限額も下がります。

年末に医療費控除などを行う予定がある人は、「上限額をどれだけ使えるか」を必ず再計算してください。

『控除が増える → 上限額が減る → 想定より多く寄付してしまい自己負担増』
という誤りは毎年多く見られます。

ふるさと納税の上限額は、年末の所得の見込みを基にした再試算が鍵です。


結論

年末は、所得税の最終調整ができる重要な期間です。
年末調整を済ませた後でも、以下の3点を意識するだけで、翌年以降の税負担を軽減できます。

  1. 医療費控除を最大限に活用する(年内の治療計画・領収書管理)
  2. 株式の損益通算を活用して課税額を最適化する(12月26日が期限)
  3. ふるさと納税の上限を「控除後の所得」で再計算する

12月は忙しい時期ですが、少しの工夫で手取りを大きく守ることができます。
ぜひ無理のない範囲で実行し、賢い年末の節税に役立ててください。

出典

・日本経済新聞「節税策、年末までに一工夫」(2025年11月)
・国税庁「医療費控除」関連資料
・金融庁・総務省 公表資料


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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