金利が下がれば株が上がる。
ドルが下がれば金が上がる。
為替と株と金利は、三角関係のようにお互いを動かします。
この「金融のトライアングル」を理解すると、
新NISAの投資判断や家計防衛のヒントが見えてきます。
📈 第1章:金利・為替・株式は“三つ巴”
経済ニュースでよく聞く3つのキーワード、
金利・為替・株式。
この関係はシンプルなようで、実は連鎖しています。
🔺三角関係の基本イメージ
(1)金利上昇 → ドル高
│ ↑
↓ │
(3)株価下落 ←(2)ドル安・金利低下
1️⃣ 金利が上がると → ドルが買われ、株がやや下落しやすい
2️⃣ 金利が下がると → ドル安になり、株が上昇しやすい
3️⃣ ドル安が進むと → 金や新興国株に資金が流れる
この動きの中心にあるのが、米国の金利(FRB政策金利)です。
🏦 第2章:FRBの利下げは「二面性のカード」
FRB(米連邦準備理事会)は、2025年後半にも追加利下げが観測されています。
一見すると株高要因に見えますが、
実際には「利下げ=通貨安」という副作用があります。
| 利下げの影響 | 株式 | 為替(ドル) | 金(ゴールド) |
|---|---|---|---|
| 短期的 | 上昇(金融緩和で資金流入) | 下落 | 上昇 |
| 中期的 | 景気減速で企業利益が鈍化 | さらに下落傾向 | 継続上昇の可能性 |
つまり、利下げ局面では「株が上がる」と同時に、
通貨(ドル)の価値が下がるリスクも伴います。
💴 第3章:家計にとってのトライアングル分析
家計にとって、3つの変数はそれぞれ違う意味を持ちます。
| 要素 | 家計にとっての意味 | 対応策(NISA・投資) |
|---|---|---|
| 金利 | 預金・債券の利息、住宅ローン金利 | 高金利期は定期預金・債券を活用 |
| 為替 | 輸入価格・海外旅行・外貨資産に影響 | 為替ヘッジ投信・金で分散 |
| 株式 | 資産価値の変動要因 | 新NISAの積立・長期保有で波を吸収 |
この三角を“ひとつの動き”として見ると、
家計はより冷静に判断できます。
🧮 第4章:シミュレーション ― 利下げが進むとどうなる?
【シナリオA】FRBが利下げ → ドル安・株高
- S&P500指数:+10%
- ドル円:150円 → 135円(▲10%)
- 金:+15%
→ 円換算では「米株は上がっても為替で相殺」。
ヘッジあり・ゴールド分散が重要。
【シナリオB】利下げで景気鈍化 → 株もドルも下落
- S&P500指数:▲8%
- ドル円:130円台前半
- 金:+20%
→ 株の下落を金と円資産がカバー。
「守りの配分」を事前に設けておくのが肝心。
🪙 第5章:新NISAでできる三角バランス運用
毎月10万円を積み立てるときの「金利・為替・株」対応型ポートフォリオ例です。
| 資産クラス | 商品例(NISA対応) | 比率 | 狙い |
|---|---|---|---|
| 米国株(無ヘッジ) | eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | 35% | 成長を享受(ドル高局面で恩恵) |
| 米国株(ヘッジあり) | 野村インデックスF・米国株式(H型) | 15% | 為替リスク軽減 |
| 全世界株 | オール・カントリー | 20% | 地域分散(ドル以外の経済も取り込む) |
| 金ETF | iシェアーズ ゴールドETF(1540) | 10% | 通貨・インフレヘッジ |
| 日本株 | ひふみプラス or TOPIX連動型 | 10% | 円建て資産として安定性を確保 |
| 債券 or 定期預金 | ― | 10% | 金利上昇時のリスク分散・現金余力 |
📊 トライアングル対応比率:株60%/金+円30%/債券10%
💬 第6章:判断の軸を「ニュース」ではなく「構造」に
短期的なニュース(利下げ観測・為替介入・金急騰)は、
一時的なノイズに過ぎません。
家計が見るべきは、「構造的な関係」です。
- 金利が下がれば → 通貨安・株高
- 通貨が下がれば → 金上昇・輸入価格上昇
- 株が上がりすぎれば → やがて金利上昇圧力
つまり、この三角関係の中で
自分の資産がどこに偏っているかを常に点検する。
それが“家計のリスク管理”の基本です。
🧭 まとめ ― 資産にも「笑顔のバランス」を
ドルが笑わなくても、株が笑っていれば救われる。
株が沈んでも、金と円が笑っていれば守られる。
金融市場は表情を変えるけれど、
家計はトライアングルのバランスで笑顔を保つことができる。
それが、これからの「ドル安時代」の生き方です。
📘 出典:2025年10月23日 日本経済新聞朝刊「株最高値圏でも『笑えぬドル』」
💬 参考:バンク・オブ・アメリカ ファンドマネジャー調査(2025年9月)
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
