株は笑顔、ドルは曇り顔 ― 家計が考えるべき「ドル安時代」の資産運用

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米国株は絶好調――。
でも、ドルは元気がない。
そんなちぐはぐな現象が、今、為替市場で起きています。


📉 なぜ「ドル安」なのに株は高いの?

10月22日、ダウ平均株価は4万6,590ドルと高値圏を維持。
S&P500指数も6月末から9%上昇しています。
一方で、ドルの強さを示す「ドルインデックス」は98台と、
今年初め(110台)から1割以上も下落しました。

「株が上がればドルも上がるはずでは?」
と思う方も多いでしょう。
ところが、今回は違います。

背景には、

  • FRB(米連邦準備理事会)による追加利下げ観測
  • 米国の財政赤字拡大(減税と歳出増)
  • FRBへの政治的圧力
    といった「ドルへの信頼低下」が影を落としています。

😏 「ドルスマイル」が描けない時代

為替の世界には「ドルスマイル理論」という有名な考え方があります。
ドル相場は、経済の状況によって「U字(スマイル)」のように動くというもの。

  • ✅ 米経済が強い → ドルが買われる(右側の笑顔)
  • ✅ 世界が混乱 → 安全資産としてドルが買われる(左側の笑顔)
  • ❌ 世界経済が好調 → 投資マネーが米国外へ → ドル売り(真ん中で口角が下がる)

今はまさにその「真ん中」。
米国株は強いが、世界的には資金が分散しているため、ドルが弱いというわけです。


🪙 ドル不信で「金」が買われるワケ

ドルの信頼が揺らぐと、投資マネーは“価値の保存”を求めて動きます。
その代表がゴールド(金)です。

金は利息を生まない資産ですが、
「通貨が信用できないとき」に選ばれる。
ウォール街では、いま再び「金買い」がブームになっています。

家庭でも、

  • 投資信託の金連動型ETF(NISA対応あり)
  • 田中貴金属などの純金積立
    などを通じて少額から始められる時代になりました。

💡 家計でできる「ドル安時代の備え」

ドルが下がると、家計にはさまざまな影響が出ます。

① 為替レートの変動に注意

ドル安=円高方向に動くと、
米国株や米ドル建て資産を保有している人は評価損が出る可能性があります。
→ NISAで米国ETFなどを買っている人は、
 「円ベースでの損益」を必ずチェックしましょう。

② 為替ヘッジを上手に活用

為替リスクを抑える投資信託(ヘッジありタイプ)を一部組み込むのも有効です。
たとえば

「S&P500(為替ヘッジあり)」
などを使えば、為替変動を抑えて米国株の値動きだけを享受できます。

③ 外貨預金・ドル建て資産の見直し

ドル預金や外貨MMFを長期で持っている人は、
為替差益を狙うよりも利息収入(金利差)重視に考え方を変える時期です。
いざというときの為替手数料・出金手数料も確認しておきましょう。

④ 金(ゴールド)で通貨分散

「通貨が笑えないとき」は、
“通貨を持たない資産”を少し持っておくのも一つのリスク分散です。
NISAや積立投資枠を活用して、
金ETF・金投信をポートフォリオの5~10%程度に入れる家庭も増えています。


🏠 家計の実践ヒント:分散・長期・冷静

ドルが安くても、米国経済が強ければ株価は上がる。
反対にドルが高くても、企業の業績が悪ければ株価は下がる。
つまり、為替だけで判断すると危険です。

家計としては、

  • 為替の波に一喜一憂しない
  • 投資の目的を「短期の儲け」ではなく「長期の資産形成」に置く
  • 株・債券・金・現金のバランスを定期的に点検する

この3点を意識しておくことが大切です。


🧭 まとめ ― ドルが笑えない今こそ、家計は笑顔で

かつてドルは「景気が良くても悪くても強い通貨」でした。
しかし今は、財政・金利・政治のゆらぎが笑顔を曇らせています。

とはいえ、
ドル安の時期は円資産で海外投資を始めるチャンスでもあります。
為替の動きを“敵”ではなく“波”としてとらえ、
自分のペースで資産を育てていきましょう。

📘出典:2025年10月23日 日本経済新聞朝刊「株最高値圏でも『笑えぬドル』」
💬 参考:米バンク・オブ・アメリカ ファンドマネジャー調査(2025年9月)


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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