人生100年時代の「働き方ポートフォリオ」― 働き方そのものを“資産”としてデザインする

副業
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■キャリアを「一つの道」ではなく「ポートフォリオ」で考える時代

これまでの日本社会では、
「ひとつの会社で定年まで勤め上げる」ことが理想とされてきました。
しかし、人生100年時代を迎えた今、働き方そのものを“分散投資”する時代に入りつつあります。

金融の世界でいうポートフォリオ(分散投資)は、リスクを抑えながら収益機会を広げる仕組みです。
それと同じように、働き方も

  • 会社員としての安定収入
  • 副業・出向起業での挑戦
  • フリーランスや講師活動での自立収入
    といった形で「収入源・経験・人脈」を分散させる考え方が求められています。

■働き方ポートフォリオを構成する3つの軸

働き方のポートフォリオには、次の3つの軸があります。

①【収入の軸】複数のキャッシュフローを持つ

給与・副業収入・配当・年金・事業所得など、1本足ではない収入構造をつくること。
たとえば、会社員としての安定収入をベースに、副業で得た経験を将来の独立や法人化につなげる。
「収入の柱を3本持つ」ことが理想です。

②【経験の軸】社内・社外・地域を横断する

出向起業や越境副業のように、
複数のコミュニティで活動すること自体がキャリア資産になります。
ひとつの職場で培ったスキルを、社外で試し、地域で活かす。
その往復運動が、自己成長と社会的信用を高めていきます。

③【時間の軸】働く時間を自分で設計する

最も重要なのは、「働く時間のコントロール」。
たとえば、

  • 50代から週3勤務+副業という形でセミリタイア型の働き方へ
  • 60代以降は顧問契約や講師業中心のスローキャリアへ
    というように、時間配分そのものを設計する力が問われています。

■「お金のポートフォリオ」と「働き方ポートフォリオ」は表裏一体

金融資産をどう運用するかと同じくらい、“自分の働き方”をどう運用するかが重要です。

たとえば、

  • 新NISAやiDeCoによる資産形成
  • 副業によるスキル資産
  • フリーランス経験による人的資本
    は、すべてが将来の生活基盤(ライフキャピタル)になります。

つまり、

働き方ポートフォリオ = 自分の人生を支える資産構成表

であり、金融だけでなく、働き方そのものをポートフォリオとして最適化する時代です。


■“働き方分散”がリスクヘッジになる理由

リスクとは「変化に耐えられないこと」です。
景気変動、企業統合、定年延長、健康問題……。
これからは、どんなに安定した企業に勤めていても、
一つの肩書やスキルだけでは不安定な時代です。

出向起業や副業、講師業などを通じて、
複数の仕事・収入源を持つことは、
いわば“人生の保険”のような意味を持ちます。

働き方の分散こそが、最大のリスクヘッジ。
この考え方が、これからのキャリアデザインの基本になります。


■税理士・FPが果たすべき新しい役割

働き方ポートフォリオを支えるうえで、
税理士・FPの役割も大きく変化しています。

これからの専門家は、
「確定申告の代行者」ではなく、
“働き方とお金の設計士”であるべきです。

たとえば、

  • 給与所得+事業所得の最適な組み合わせ
  • 法人化のタイミング
  • 副業収入と社会保険料のバランス
  • iDeCo・NISA・企業年金との整合性
    こうした総合的な設計を、個人単位でアドバイスできる力が求められます。

働き方が複雑化するほど、税務・社会保障の知識が“人生戦略”に直結する。
まさに、税理士・FPが「キャリアの伴走者」になる時代です。


■まとめ:働き方も、人生設計の一部として「見える化」しよう

「どんな仕事をするか」「どこで働くか」だけでなく、
「どう働き方を組み合わせるか」までを設計する。
これが、人生100年時代の新しいライフプランニングです。

  • 出向起業で挑戦の幅を広げる
  • 副業でスキルと収入を磨く
  • フリーランスで自由と専門性を深める

そして、それらをお金・時間・健康と統合的にマネジメントする
それこそが、人生100年時代を豊かに生きるための「働き方ポートフォリオ」なのです。


出典:2025年9月19日 日本経済新聞 朝刊
「大企業辞めずに『出向起業』、埋もれる技術に光 支援の仕組みは手探り」


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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