2026年度税制改正は「減税」が主戦場に 少数与党の中で進む攻防と、私たちの暮らしへの影響

政策
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2026年度の税制改正に向けた議論が本格化しています。今年の特徴は、政権与党である自民党だけでなく、連立相手の日本維新の会や野党からも「減税」の要求が強まっている点です。背景には、少数与党となった政権が予算案や税制関連法案を通すために、他党の協力が不可欠になっている事情があります。

税制改正は専門的な話になりがちですが、その方向性は家計の負担や働き方にも大きく影響します。今回は、各党の主張や政治的力学を整理しながら、生活者に関わるポイントを分かりやすく解説します。

1.自民党税調で始まった2026年度改正議論

自民党税制調査会は11月20日、2026年度税制改正に向けた議論をスタートさせました。小野寺五典税調会長は「国民目線で開かれた税調」と説明し、透明性を重視する姿勢を打ち出しています。

一方で、政権のキーワードは「責任ある積極財政」。減税の検討が増える一方で、財政規律の確保は難しさを増しています。

また、税調幹部の3分の2が初任という新体制で、専門性の蓄積がどこまで機能するかも注目ポイントです。


2.維新や野党が減税要求を強化

● 維新の狙い:中小企業支援や交際費の見直し

維新は10月に税調を立ち上げたばかりで、経験豊富な議員は多くありません。しかし、少数与党の現状では、維新との協議が税制改正の鍵を握ります。

特に、中小企業の負担軽減を目的とした「飲食を伴う交際費の損金算入拡大」などを重点項目として掲げています。

● 国民民主:年収の壁を最優先

国民民主党は「所得税の非課税枠(年収の壁)の178万円への引き上げ」を最重要課題に据えています。最低賃金の上昇率に連動して水準を決めるべきと考え、家計の手取り改善を強く求めています。

● 公明党:奨学金減税や住宅ローン減税の拡充

住宅ローン減税や、奨学金返済の一部を所得控除する新制度「奨学金減税」、さらには食料品への軽減税率の引き下げなど、家計に直結する提案を示しています。


3.減税の財源確保という難題

与野党間での協議が盛り上がる一方、減税に伴う財源の確保は避けて通れません。

特に、10月に与野党6党で合意した「ガソリン・軽油の旧暫定税率廃止」は、国と地方合わせて約1.5兆円の税収減につながる大きなテーマです。

財源として示されているのは以下のような項目です。

  • 租税特別措置(租特)の見直し
  • 富裕層への課税強化

ただし、野党からは「代替財源は不要」とする意見もあり、年末までにどのように折り合いをつけるかは不透明です。


4.金利上昇と財政環境の変化も影響

長期金利が上昇基調にある中で、財政運営そのものが難しい局面にあります。税調内部でも「金利動向を見ながら進めるべき」との声が上がっており、積極的な減税路線と財政規律の間でバランスをとる必要があります。


5.家計に影響するポイント

今回の税制議論は政治的な駆け引きが中心ですが、生活者に直接関係するテーマも多く含まれています。

● 注目ポイント

  • 年収の壁の引き上げ
     パートやフリーランスの働き方に直結
  • 住宅ローン減税の拡充
     マイホーム世帯の負担軽減
  • 奨学金減税の創設
     若年世帯の負担緩和
  • 交際費の損金算入拡大(企業向け)
     中小企業の経営環境改善
  • 燃料税の暫定税率廃止の行方
     ガソリン価格に影響する可能性

さらに、年少扶養控除の復活など、子育て世帯向けの議論も続いています。


結論

2026年度の税制改正は、少数与党という政治状況の中で、「減税」をめぐる各党の主張がこれまで以上に重要な意味を持っています。自民党と維新の協議に加えて、公明党や国民民主、さらには他の野党からの要求が絡み、年末に向けて議論は複雑さを増しそうです。

家計に関連するテーマも多く、今後の議論は私たちの生活に直結します。特に「年収の壁」「奨学金減税」「住宅ローン減税」「燃料税」などは、働き方や家計管理に大きな影響を与えるため、最新情報を追っていく必要があります。

政治的な駆け引きが続く中で、どこまで実現可能な減税・制度見直しが進むのか。年末の税制大綱に注目が高まります。


出典

日本経済新聞「維新・野党、自民に減税圧力 予算案成立引き換えに」
(2025年11月21日)


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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