10月から始まる「リスキリング休暇」給付金制度とは

人生100年時代
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~会社員が安心して学び直せる社会に向けて~

1. 新制度の概要

2025年10月から、会社員やパートなど雇用保険に加入している労働者が、自発的なリスキリング(学び直し)のために連続30日以上の無給休暇を取得すると、賃金の一定割合を国から受け取れる新しい制度が始まります。
これは「教育訓練休暇給付金」と呼ばれ、休暇前の賃金(手当などを含む)の 5~8割程度 が給付される仕組みです。給付額は学費と直接連動しませんが、既存の「教育訓練給付金」(講座受講費の補助)と併用可能です。

給付日数の目安

  • 雇用保険加入 5年以上10年未満:最長90日
  • 10年以上20年未満:最長120日
  • 20年以上:最長150日

ただし注意点として、一度この給付を受けると雇用保険の被保険者期間がリセットされ、一定期間は失業給付を受けられなくなる点があります。

2. 背景にある課題

日本では「短期研修」への参加率はOECD諸国と遜色ありません(29.7%)。一方で、大学や専門学校で1学期以上の学びに参加する割合はわずか1.1%と、31カ国中最低水準にとどまっています。
最大のハードルは「仕事で時間が取れない」(約4割)。つまり、学び直しをしたくても「長期休暇を取る仕組み」が整っていないことが大きな阻害要因でした。

厚生労働省の調査(2024年度)によると、83.4%の企業には教育訓練休暇制度が存在せず、導入予定もないというのが現実です。その理由の半分は「代替要員を確保できない」でした。

制度自体は整ったものの、企業側の理解と体制整備がなければ実際に使うのは難しい、という構造的な課題が浮き彫りになります。

3. なぜ今リスキリングなのか

AIやデジタル化の進展により、労働市場の変化はこれまで以上に加速しています。
世界経済フォーラム(WEF)の試算では、2030年までに世界の労働力100人のうち59人がリスキリングを必要とするとされています。日本も例外ではなく、労働者が「今の職務に必要な力」から「未来に生き残れる力」へとスキルをシフトすることが求められています。

4. 読者へのヒント

  • 学び直しを検討している方へ
    • 制度を活用すれば、生活費の不安をある程度抑えながら長期学習に挑戦できます。
    • 「教育訓練給付金」と組み合わせれば、学費と生活費の双方をカバーすることが可能です。
  • 企業経営者や管理職の方へ
    • 制度導入のカギは「代替要員の確保」と「制度利用を認める文化」づくりです。
    • いち早く環境を整えることが、従業員から選ばれる企業になる条件にもなります。

5. 今後の展望

理念先行との批判もありますが、制度があることで「選択肢」が広がるのは確かです。
「学びたいけれど現実的に休めない」という声を減らし、キャリアの柔軟性を高められるかどうかは、社会全体の意識変化にかかっています。

日本のリスキリング文化が、単発の研修から「長期学習」へと広がっていく契機となるのか。10月からの新制度の動向は注目に値します。


📌参考:日本経済新聞「リスキリング休暇に給付金」(2025年9月8日朝刊)


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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