高齢者と現役世代で逆進性の見え方はどう違うか――同じ消費税でも「重さ」は世代で異なる

政策
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消費税の逆進性が語られるとき、
「低所得者ほど負担が重い」という説明がよく用いられます。
しかし、実際には高齢者と現役世代では、消費税の逆進性の見え方が大きく異なります

本稿では、世代ごとに消費税負担と給付の関係を整理し、
なぜ同じ制度でも評価が分かれるのかを考えます。

現役世代にとっての逆進性の見え方

現役世代は、

  • 給与や事業収入を得て
  • 所得税や住民税、社会保険料を負担し
  • その残りで消費を行う
    という構造にあります。

このため、消費税は
すでに他の負担を差し引かれた後に、さらに課される税
として意識されやすくなります。

特に、

  • 子育て世帯
  • 住宅ローンを抱える世帯
  • 社会保険料負担が重い層

では、可処分所得に占める消費税の割合が高くなり、
逆進性を強く感じやすい傾向があります。

高齢者にとっての逆進性の見え方

一方、高齢者世代、とりわけ年金生活者の場合、
収入の中心は公的年金です。

年金収入は、

  • 一定額以下であれば非課税
  • 課税されても税率が低い
    という特徴があります。

その結果、
所得税や住民税の負担が軽い、あるいはほとんどない高齢者も少なくありません。
こうした層にとって、消費税は主要な税負担となります。

この点だけを見ると、高齢者の方が逆進的に見える場合もあります。

社会保障給付を含めると評価は逆転する

しかし、税負担だけで判断すると、議論を見誤ります。
高齢者は、

  • 年金給付
  • 医療費の自己負担軽減
  • 介護サービス

といった社会保障給付を継続的に受けています。

これらの給付額は、消費税として支払う金額を大きく上回るケースが多く、
制度全体で見れば、高齢者は「受益側」に立つことが一般的です。

一方、現役世代は、

  • 消費税
  • 社会保険料
    を負担しながら、
    受け取る給付は将来に先送りされる構造になっています。

「逆進性」をどう定義するかで結論が変わる

消費税の逆進性は、

  • 所得に対する税負担
  • 世帯単位か個人単位か
  • 税だけを見るのか、給付まで含めるのか

といった前提条件によって、結論が大きく変わります。

特に世代間で見る場合、
税だけを切り出すと、高齢者に厳しく見え、
負担と給付を合わせると、現役世代に厳しく見える

という逆転現象が起こります。

世代別に異なる政策の効き方

この違いを踏まえると、
食品の消費税ゼロや税率引き下げは、
高齢者にも現役世代にも一律に効果が及びます。

一方で、

  • 子育て給付
  • 就労世代向けの給付付き支援
    は、現役世代の逆進性をより直接的に緩和します。

どの世代の負担感を重視するかによって、
取るべき政策は変わってきます。

結論

消費税の逆進性は、世代によって見え方が異なります。

現役世代にとっては、
社会保険料と重なる形で負担感が強く出やすい税。
高齢者にとっては、
主要な税負担である一方、社会保障給付と一体で見る必要がある税。

消費税を巡る議論では、
「誰にとって逆進的なのか」
「どこまでを制度として見るのか」
を整理しなければ、政策の評価を誤ります。

世代間の負担と給付のバランスをどう取るのか。
それこそが、消費税議論の本質と言えるでしょう。

参考

・日本経済新聞「食品消費税ゼロなら、地方税収2兆円減 保育・介護サービスに影響」


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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