高市トレードは続くのか――株高を一過性で終わらせないための条件

投資

2026年1月、高市早苗首相が自らの言葉で衆院解散を表明しました。これに先立ち、株式市場ではいわゆる「高市トレード」が再び勢いを増し、日経平均株価は史上初めて5万4000円台に乗せました。
支持率の高さと政策推進力への期待が、株価を押し上げた構図です。

もっとも、株価が上昇している一方で、家計や老後への不安が解消されたという実感を持つ人は多くありません。相場は好調でも、生活者の体感とは乖離がある。この株高は一時的なものなのか、それとも持続的なものなのか。その分かれ目はどこにあるのでしょうか。


高市トレードとは何か

なぜ市場は好意的に反応したのか

高市トレードとは、高市政権が掲げる積極財政、成長投資重視の姿勢、政策遂行力への期待を背景に、日本株が買われる流れを指します。個別政策の細部というより、「決断が早く、政策が前に進む」という政治的メッセージが評価されている側面が大きいと言えます。

こうした相場は、短期的には非常に強い反応を見せます。しかし同時に、選挙結果や支持率の変化、海外情勢といった要因で揺らぎやすい不安定さも抱えています。実体経済や企業の中身が変わらなければ、株価だけが先行する状態は長続きしません。


韓国市場が示したもう一つの答え

参考になるのが、近年の韓国市場の動きです。2025年、韓国の株価指数は主要国の中でも突出した上昇率を記録しました。その背景には、単なる景気刺激策だけでなく、市場制度や企業統治の改革がありました。

特に注目されるのは、取締役に株主への信認義務を明確に課す法改正を実現した点です。日本ではコーポレートガバナンス・コードというソフトローを中心に改革が進められてきましたが、韓国は法制化という形で一段踏み込んだ対応を取りました。

また、先進国市場として評価されることを目指し、市場制度や為替制度の改革にもロードマップを示しています。これは、投資家に対して自国市場の質を明確に示そうとする強い意思の表れです。


日本企業の現金偏重は誰の問題か

日本企業は長年、現金をため込む傾向が強いと指摘されてきました。内部留保の積み上げは、企業の安全性を高める一方で、賃金や投資、配当として外に出にくい構造を生んでいます。

この問題は、企業経営者や株主だけの話ではありません。年金資金の多くは株式市場で運用されています。企業が成長せず、資本効率が上がらなければ、年金の運用成績にも影響します。また、NISAを通じて投資に参加する個人が増えた今、企業の姿勢は家計の将来とも直結しています。


年金世代・生活者から見た

ガバナンス改革の本当の意味

ガバナンス改革というと、「株主優遇」「投資家のための改革」と受け取られがちです。しかし本質はそこではありません。企業価値が高まり、安定的に利益を生み出す企業が増えることは、賃金、雇用、年金、物価対応力といった形で、広く社会に波及します。

株を直接保有していない人であっても、年金を通じて間接的に企業の成長と結びついています。ガバナンス改革は、株価対策ではなく、経済の持続性を高める基盤整備と捉えるべきものです。


結論

高市トレード持続の条件は
株価ではなく統治にある

高市トレードを持続可能なものにするために必要なのは、財政や金融政策だけではありません。企業がため込んだ現金をどう使い、どのように成長につなげるのか。その方向性を促すガバナンス改革が欠かせません。

アジアでは、日本を参考にしながらも、より踏み込んだ改革を進める国が現れています。日本が再び投資先として選ばれ続けるためには、一段ギアを上げた企業統治の進化が求められます。
株高を一過性で終わらせず、生活や老後の安心につなげられるか。その分岐点に、日本はいま立っています。


参考

日本経済新聞「高市トレード持続のカギ」


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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