1. 新政権に求められる「本当の家計支援」
新政権の経済政策が注目を集めています。東京財団政策研究所の森信茂樹氏は、「中低所得者の負担を直接的に軽くする仕組み」として、給付付き税額控除の実現に期待を寄せています。
この制度は、所得税の控除額を超える分を現金で還付するもので、単なる減税ではなく、働く人ほど恩恵を受けやすい仕組みです。就労を促し、リスキリング(学び直し)や人的資本の向上、ひいては賃金上昇にもつながるとされています。
2. 食品の消費税ゼロは「効果が薄い」
一方で、よく議論される「食料品の消費税ゼロ」については、必ずしも消費者に恩恵が届かないとの見方もあります。
欧州の例では、税率を引き下げてもその分が中間業者や卸売業者の利益に回り、店頭価格が下がらなかったという報告が多数あります。
つまり、表面上の「減税」だけでは、生活者が実感できる負担軽減にはつながらない可能性があるのです。
3. 「財源を意識した」政策運営を
森信氏は、財政健全化を無視したバラマキ政策ではなく、財源をしっかり確保しながらの持続的な支援策を求めています。
特に、特定の業種・企業を優遇する「租税特別措置(租特)」の中には、もはや時代に合わないものも多いと指摘。
賃上げが社会全体に定着した今、「賃上げ促進税制」などの減税措置は役割を終えつつあり、メリハリある見直しが必要だと述べています。
4. 財政と金融政策の「両立」がカギ
大胆な金融緩和や積極財政は、景気下支えの効果を持つ一方で、インフレや金利上昇のリスクも伴います。
今後は「人への投資」と「財政の持続可能性」を両立させるかどうかが、政権の真価を問われるポイントとなるでしょう。
■まとめ
「消費税を下げるかどうか」という議論はわかりやすいですが、実際に家計を支えるには、所得に応じたきめ細かな支援が不可欠です。
給付付き税額控除は、その最も有力な選択肢のひとつ。単なる減税競争ではなく、「人への投資」と「働く意欲の底上げ」を両立する政策こそが、次の時代の財政運営の軸になるはずです。
📘出典・参考
2025年10月22日 日本経済新聞朝刊「食品減税、消費者恩恵薄く」
東京財団政策研究所 森信茂樹氏コメントより再構成
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
