金(ゴールド)急落!―「安全資産」も揺れる時代、NISA投資家はどう動く?

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◆ 「安全資産」が6%も下落?

「金(ゴールド)」といえば、安全資産の代表格です。ところが10月21日、ニューヨーク市場で金の先物価格が1日で5.7%も急落し、日本国内の小売価格も1万5000円以上下がるという異例の事態になりました。

これまで金は「地政学リスクに強い」「通貨の代わりになる」などと注目を集めてきました。しかし、今回の急落は単なる調整ではなく、新しいタイプの金市場の“歪み”が背景にあると専門家は指摘しています。


◆ ETF経由で流れ込む「投資マネー」

いま金の取引を大きく変えているのが、ETF(上場投資信託)の存在です。ETFとは、株のように証券口座で売買できる投資信託で、金ETFなら「金価格に連動する金融商品」を買うことができます。

世界的にみると、金ETFに流れ込む資金が急増しています。
ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)の調査によると、2025年4〜6月期には金需要の約2割がETF経由でした。わずか1年前はほぼゼロです。

つまり、今の金市場は実物の金の需給よりも、“投資マネー”の動きで価格が大きく動くようになっています。これが「安全資産」だった金をも不安定にしているのです。


◆ 投機マネーに揺れる金市場

今回の急落では、金だけでなく銀やプラチナも同時に下がりました。投資ファンドが一斉に「利益確定売り」をしたことで、連鎖的に売りが売りを呼んだ形です。

かつては「株が下がるときの逃げ場」が金でしたが、今は株も金も同じ投機資金が動かしている面があります。安全資産といえども、短期的な値動きは激しくなっているのが現実です。


◆ NISAで「金」を買うのはあり?

最近では、新NISAで金ETFを買う人も増えています。
たとえば「SPDRゴールドシェア(1326)」や「iシェアーズ・ゴールドETF(1540)」など、証券会社のNISA口座で取引できます。

ただし、NISAで金を買う際には次の点に注意が必要です。

注意点内容
✅ 値動きが大きいETF経由のマネー流出入で短期変動が激しい
✅ 配当がない金は企業の利益を生む資産ではないため、配当はゼロ
✅ 売却益が唯一のリターン長期保有での値上がり益を狙う投資スタイルが基本

そのため、ポートフォリオ全体の数%を“守りの資産”として金に回す、というバランスが現実的です。


◆ 分散投資の中で金をどう位置づけるか

金の価値は「通貨や国に依存しない」という点で、依然として大きな魅力があります。
ドル安やインフレ局面では、金は資産防衛の役割を果たします。

一方で、今回のように短期的に乱高下するリスクも忘れてはいけません。
株・債券・金といった資産をうまく組み合わせ、リスクを分散させることが重要です。

NISAで金を保有する場合も、「全体のうちどのくらいを安全資産に置くか」という視点を持つことで、より安定した資産形成につながります。


◆ まとめ ― 「守りの資産」にも変化が

金は今も「無国籍通貨」として世界中の投資家に支持されています。
しかし、ETFの普及によって金市場にも“短期マネー”が流れ込み、もはや「完全な安全資産」ではない時代に入りました。

だからこそ、金に投資する際には「短期ではなく長期で」「全体のバランスを見て」取り組むことが大切です。
NISA口座で手軽に買えるようになった今だからこそ、冷静に“金の位置づけ”を見直すタイミングかもしれません。


出典・参考:
2025年10月23日 日本経済新聞朝刊
「金急落、投機マネー翻弄 ETF経由で流入『安全資産』揺らす」
ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)統計資料


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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