金(ゴールド)がついに1トロイオンス=4000ドルを突破!― 世界中で“お金の信頼”が揺れている ―

FP
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世界の金(ゴールド)の価格が、ついに1トロイオンス(約31グラム)=4014ドルを突破し、史上最高値を更新しました。
半年で3割上昇、昨年末からは実に5割超の値上がり。
日本の店頭価格でも1グラム2万1000円を超え、過去最高を記録しています。

では、なぜいま金がこれほどまでに買われているのでしょうか?
その背景には「通貨への信頼の揺らぎ」と「歴史が繰り返す力学」があります。


■ 米国への信認低下と“無国籍通貨”ゴールド

今回の金高騰の背景には、アメリカの政治と経済の不安定さがあります。
与野党の対立によって政府機関の一部が閉鎖され、トランプ大統領は中央銀行であるFRBへの介入姿勢を強めています。

「ドル(アメリカのお金)を持っていて本当に安全なのか?」
そんな疑念が世界中で広がる中、特定の国に縛られない“無国籍通貨”である金が注目を集めているのです。

金は利息を生まない一方で、価値がゼロにならない資産。
つまり「有事のときの保険」として、安心感をもたらす存在です。


■ 各国の中央銀行も“金の時代”へ

金を買っているのは投資家だけではありません。
世界中の中央銀行も、こつこつと金を買い増しています。

ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)によると、2024年まで3年連続で年間1000トン以上の金を購入。
これは世界の年間採掘量(約3600トン)の3分の1にあたります。

つまり「ドル中心の資産構造」から「多極型の安全資産」へと、
世界のマネーの流れがゆっくりと変わっているのです。


■ 米国債を上回る金の資産価値

金価格が4000ドルを超えたことで、世界の中央銀行などが保有する金の総資産価値は約4.7兆ドルに達しました。
これは公的機関が保有する米国債(約3.9兆ドル)を上回る規模です。

「米国債より金が信頼される」——これは歴史的な転換点を示しています。
世界の資産構造が、静かに、しかし確実に動き始めています。


■ レイ・ダリオ氏が語る「金高騰は歴史の必然」

米ヘッジファンド大手ブリッジウォーター創業者のレイ・ダリオ氏は、
アメリカ・コネティカット州の投資フォーラムで次のように語りました。

「通貨価値が下落する世界では、金の上昇は歴史的に必然だ」

彼は1971年の「ニクソン・ショック」(金とドルの交換停止)を例に挙げ、
“通貨の価値そのものが上下しているだけ”という事実に私たちは気づくべきだと指摘します。

ダリオ氏によれば、
現在のアメリカは歳出7兆ドル・歳入5兆ドルという「持続不可能な赤字構造」に陥っており、
その穴埋めのために中央銀行が通貨を発行し続けざるを得ない。
結果として、通貨価値が下がり、資産の信頼は「ハードカレンシー(価値の硬い通貨)」=金へ移る。

「ポートフォリオの15%をゴールドに配分するのが合理的だ」

とまで語り、ドルから金へのシフトは“時代の必然”であると強調しました。


■ 歴史は繰り返す ― 金が光るとき、通貨は疲弊している

ダリオ氏は、1930年代のルーズベルト政権が通貨を切り下げた時代にも同じ現象が起きたと指摘します。
当時も世界は債務の膨張に苦しみ、やがて第2次世界大戦へと突き進みました。

「歴史と力学を見れば、危機は衝突によってしか解決されない可能性が高い」

と語る彼の言葉には、金の上昇が“経済の健全化”を意味するわけではないという警鐘が込められています。
金の輝きは、しばしば世界の不安を映す鏡なのです。


■ 私たちが考えるべき「お金のあり方」

金を買う・買わないは人それぞれです。
しかし今回の金高騰が示しているのは、「お金の価値は永遠ではない」という現実です。

円やドルも、国の信頼の上に成り立つ「信用の道具」。
その信頼が揺らぐとき、人々は“価値のある実物”へと逃げます。

「すぐに金を買うべき」という話ではなく、
これからの時代はお金そのものの意味を問い直す時代なのかもしれません。

インフレ、債務、為替、地政学——。
これらの動きが複雑に絡み合う今だからこそ、
「何に価値を置くか」を自分の頭で考えることが、最大の資産防衛になるのではないでしょうか。


📘 出典


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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