金価格の急上昇をきっかけに始めた本シリーズも、第4回となりました。
これまでに「金価格の上昇要因」(第1回)、「米国の奇策=ゴールドリザーブ再評価」(第2回)、「個人投資家が取るべき具体的アプローチ」(第3回)を見てきました。
今回は、インフレ環境下で「なぜ実物資産が大切なのか」、そして「どのように長期的に資産寿命を守るか」というテーマで考えていきます。
インフレの脅威とは?
- インフレは「貨幣価値の減少」を意味します。
- 物価が毎年3%上昇すると、20年で購買力は約半分になります。
- 現金や預金を中心に資産を保有していると、知らず知らずのうちに実質的な資産が目減りしてしまいます。
日本でも3%前後のインフレが定着しつつあり、長期的に「物価上昇を前提とした資産設計」が欠かせません。
実物資産がインフレに強い理由
- 供給量が限られている
- 金や銀、不動産は新しく増やすことが難しいため、価値が維持されやすい。
- 現物価値を持つ
- 株式や債券は将来の収益や利息に依存しますが、実物資産は「それ自体の価値」が基盤。
- 代替通貨の役割
- 通貨の価値が下がる局面で「実物」が通貨の信認低下を補う。
金と他の実物資産の比較
金
- 「無国籍資産」として国際的に通用。
- インフレヘッジの代表格。
- 長期的に保険的役割を果たす。
銀・プラチナ
- 工業需要があるため価格変動が大きい。
- 景気局面では金以上に値上がりする場合も。
不動産
- 家賃収入や土地価値の上昇でインフレに対応。
- ただし流動性や維持コストに注意。
コモディティ(原油・農産物など)
- 生活必需品価格に直結。
- サイクル要因や地政学リスクの影響を強く受ける。
長期的な分散戦略
- 資産寿命を延ばすには、収益資産(株・債券)と守りの資産(実物)のバランスが重要。
- インフレ局面では「現金・預金比率を下げ、実物資産を一定割合組み込む」ことが有効。
- 一般的には、全資産の 10〜20%程度を金や実物資産に配分 する考え方が広く用いられます。
具体的な投資の組み合わせ例
- 安定志向:株式50%、債券30%、金10%、不動産10%
- やや積極型:株式60%、債券20%、金10%、その他コモディティ10%
- 守備重視(退職後):株式40%、債券30%、金15%、不動産15%
※あくまで一例であり、年齢・リスク許容度によって調整が必要です。
まとめ
- インフレは「見えない税金」のように資産を目減りさせる。
- 金をはじめとする実物資産は、インフレ下で価値を守る役割を果たす。
- 金だけでなく、銀・プラチナ、不動産、コモディティも組み合わせ、長期的な資産寿命を守る分散戦略を取ることが大切。
(参考:日本経済電子版 2025年9月20日記事)
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
