これまでのシリーズでは、金価格が史上最高値を更新する背景(第1回)、そして米国の「ゴールドリザーブ再評価」という奇策(第2回)を見てきました。
第3回となる今回は、「では個人投資家はどう行動すべきか?」という実践的なテーマに焦点を当てます。金投資の具体的な方法、ポートフォリオにおける位置づけ、さらに金以外の実物資産の可能性を整理していきます。
金投資の具体的な手段
1. 現物(金地金・コイン)
- 特徴:手元に実物を保有できる安心感。
- メリット:価値がゼロにならない。相続や贈与に活用できる。
- デメリット:盗難・災害リスク、保管コスト。少額投資が難しい。
2. 金ETF(上場投資信託)
- 特徴:証券口座で株式同様に売買可能。
- メリット:流動性が高く、少額から投資できる。
- デメリット:配当なし、手数料がかかる場合も。
3. 投資信託
- 特徴:金関連ETFや先物などに分散投資。
- メリット:専門家に運用を任せられる。積立投資にも対応。
- デメリット:信託報酬が発生。
4. 金先物・CFD
- 特徴:レバレッジを利用できる。
- メリット:少額で大きな値動きに対応可能。
- デメリット:リスクが高く、初心者には不向き。
5. 積立型(金積立)
- 特徴:毎月1,000円程度から少額積立可能。
- メリット:ドルコスト平均法で長期的に安定。
- デメリット:成果が出るまで時間がかかる。
金投資の位置づけ
- 金は「守りの資産」であり、株や債券のような利息・配当は生まない。
- ポートフォリオ全体の 5〜15%程度 を目安に分散保有するのが一般的。
- 短期売買よりも、「資産の保険」として長期保有する発想が大切。
金以外の実物資産の選択肢
金だけでなく、分散の観点から他の実物資産も検討する価値があります。
1. 銀・プラチナ
- 銀:工業需要が大きく、価格変動は激しいが上昇時は金を上回ることも。
- プラチナ:自動車需要に左右されるが、歴史的に割安水準。
2. 不動産(現物・REIT)
- 現物:インフレに強いが、流動性や維持コストの課題あり。
- REIT:証券市場で売買でき、配当収入が期待できる。
3. コモディティ(商品)
- 原油・天然ガス:景気や地政学に大きく依存。
- 農産物:インフレ局面では上昇余地あり。
4. その他の代替資産
- 美術品、ワイン、高級時計など。資産価値はあるが流動性に難点。
個人投資家への示唆
- 金は資産防衛のための「保険」として組み込むのが基本。
- インフレやドル安リスクに備えるために、金だけでなく複数の実物資産に分散することが望ましい。
- 特にリタイア世代にとっては、資産寿命を延ばす戦略の一環として「金+他の実物資産」の組み合わせが有効。
まとめ
- 金投資には現物からETF、積立まで多様な手段がある。
- 「資産の一部を守るために持つ」という発想が重要。
- 銀・プラチナ、不動産、コモディティなども組み合わせ、インフレや不安定な国際情勢に備える。
(参考:日本経済電子版 2025年9月20日記事)
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
