2026年1月末、金先物価格が1日で1割を超える急落を記録しました。下落率としては1980年以来の大きさとされ、市場に強い衝撃を与えています。
直前まで金価格は地政学リスクやドル安を背景に急騰し、最高値を更新していました。しかし、その流れはわずか1日で反転しました。
今回の下落は単なる調整なのか、それとも金バブルの崩壊局面に入った兆しなのか。本稿では、背景にある複数の要因を整理し、今後の見通しを考えます。
金急落の直接的なきっかけ
今回の金価格急落の引き金となったのは、次期FRB議長にケビン・ウォーシュ元FRB理事が指名されたことでした。
ウォーシュ氏は金融緩和に慎重とみられており、市場では金融引き締め志向が意識されました。その結果、為替市場ではドル高が進行し、ドルの代替資産とされる金には売りが集中しました。
金価格はドル建てで取引されるため、ドル高局面では相対的に割高になりやすく、売却圧力が強まります。
投機マネー主導の上昇と反動
年初からの金価格上昇は、必ずしも実需や中長期投資家だけによるものではありませんでした。
商品投資顧問や短期投機資金が相場のトレンドに追随し、ポジションを積み上げていたことが、上昇を加速させた側面があります。
このような局面では、ひとたび利益確定売りが出ると、流動性が急低下し、値動きが自己増幅的になりやすくなります。今回の急落は、その典型例といえます。
銀が示した投機色の強さ
金以上に下落が大きかったのが銀です。銀は市場規模が小さく、価格変動が激しい特徴があります。
直近数週間で急騰していた銀は、投機マネーの流入と流出が価格を大きく左右しました。3割近い下落は、実需ではなく投機主導の相場であったことを如実に示しています。
金は本当に安全資産なのか
金は伝統的に安全資産とされてきましたが、短期的にはリスク資産として扱われる場面も少なくありません。
株式市場が急落した際、含み益のある金が損失補填のために売却されるケースもあります。今回も、ハイテク株下落の影響で金が売られた可能性が指摘されています。
安全資産というイメージと、実際の市場行動にはズレがある点に注意が必要です。
バブルを示唆する指標
著名投資家のキャシー・ウッド氏は、米国の通貨供給量に対する金の時価総額比率が過去最高水準に達している点を指摘しました。
この水準は、インフレと金利が急騰していた1980年を上回るとされ、上昇サイクルの終盤にみられる特徴と重なります。
金価格がさらに上昇する余地を指摘する見方がある一方で、急騰自体が警戒信号であるとの見方も無視できません。
結論
今回の金急落は、単なる一時的な値動きではなく、投機マネーが主導していた相場の脆さを浮き彫りにしました。
金は長期的には価値保存手段としての役割を持つ一方、短期的には市場心理や金融政策の影響を強く受ける資産です。
重要なのは、価格上昇の理由が構造的なものなのか、それとも投機的な熱狂によるものなのかを冷静に見極めることです。
潮が引いたときに何が残るのか。金相場は今、その試練の局面に差しかかっているのかもしれません。
参考
日本経済新聞
金、80年以来の下落率
金バブル崩壊、「女王」が警鐘
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
