2025年に入り、日本でも長らく続いた「超低金利時代」が変わりつつあります。日銀が政策金利を引き上げ始めたことや、世界的なインフレ圧力を背景に、長期金利・短期金利の両方が上昇傾向にあります。新聞やテレビでも「住宅ローン金利が上昇」といった見出しを見かけることが増えました。
では、この「金利上昇」は私たちの家計にどんな影響をもたらすのでしょうか。特に人生最大の借金である住宅ローンは、金利の影響を受けやすい分野です。今回は、住宅ローンを中心に金利上昇との向き合い方を整理します。
金利上昇のメリットとデメリット
金利上昇は、家計にとって両刃の剣です。
- メリット:預金金利や国債の利回りが上がり、受け取る利子収入が増える。
- デメリット:ローンや借入金の返済負担が増える。
例えば、いままで変動金利型で0.5%だった住宅ローンが、1%に上昇したとします。3,000万円を35年で借りていた場合、毎月返済額は数千円単位で増え、総返済額では数百万円規模の差につながります。
固定金利型と変動金利型の違い
住宅ローンの代表的な選択肢は「固定金利型」と「変動金利型」です。それぞれの特徴を整理すると以下の通りです。
固定金利型(例:フラット35)
- 借入時の金利が完済まで固定。
- 将来の金利上昇に影響を受けない安心感。
- ただし、借入時点での金利は変動型より高い。
変動金利型
- 半年ごとに金利が見直され、返済額も5年ごとに調整。
- 短期金利に連動し、日銀の政策金利の影響が大きい。
- 借入時の金利は低いが、将来の金利上昇リスクがある。
ケーススタディ:変動と固定、どちらが有利?
たとえば、3,000万円を借りて35年返済した場合を比較してみましょう。
- ケースA:固定金利型 1.7%で借入
→ 総返済額:約4,240万円 - ケースB:変動金利型 0.5%で借入、10年後に1.5%に上昇、その後は据え置き
→ 総返済額:約3,870万円
この場合、変動型の方が最終的に約370万円有利です。ただし、想定以上に金利が上がれば逆転する可能性があります。
つまり「どこまで金利が上昇するか読みにくい」というのが、最大の悩みどころです。
借入時の判断ポイント
① 繰上げ返済の余力
金利が上がったときに返済を前倒しできる資金余力があるなら、変動金利でも対応可能。
② 借入額と返済比率
返済負担率(年収に占めるローン返済額の割合)が高い世帯は、金利上昇に耐えにくい。固定金利で安定させるのが安心。
③ 今後のライフイベント
教育費や転職などで家計が変動しそうなら、リスクを抑える固定金利が無難。
今後の金利見通しは?
日銀は現在、政策金利を0.5%に据え置いていますが、今後もインフレ次第で利上げを進める可能性があります。米国や欧州ではすでに金利が数%まで上昇しており、日本もゼロ金利からの転換期にあるのは確かです。
ただし、「どこまで上げるか」「いつまで続くか」は予測が難しいのが現実です。したがって、「金利を完全に予想する」のではなく、「どんな金利環境でも家計が耐えられる設計」にすることが重要です。
まとめ:住宅ローン金利との賢い付き合い方
- 固定金利は「安心感」を買うもの。
- 変動金利は「低金利メリット」を享受できるが、上昇リスクに備える必要がある。
- 繰上げ返済や資金余力があるかどうかで選択肢は変わる。
- 「どの金利が得か」を断定するより、「家計の安全マージンを確保する」ことが大切。
👉 次回(第2回)では、 「預金金利と個人向け国債」 をテーマに、キャンペーン定期や「変動10年」「固定3年・5年」の具体的なメリット・デメリットを詳しく掘り下げます。
📌 参考資料 日本経済新聞(夕刊)2025年9月24日
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。

