前回まで、金利の仕組みと、上昇が家計にもたらすメリット・デメリットを見てきました。では実際に、金利が上がる局面で私たちはどう備えればよいのでしょうか。ここでは生活や資産形成の観点から、実践的なポイントを整理してみます。
1. 住宅ローン利用者は「固定金利」か「繰り上げ返済」を検討
金利上昇の影響を最も受けやすいのが住宅ローンです。特に変動金利型は返済額が将来的に増える可能性があります。
- 固定金利型への切り替え
低金利のうちに固定に乗り換えると、将来の金利上昇リスクを避けられます。 - 繰り上げ返済で借入残高を減らす
返済額を早めに減らすことで、金利上昇の影響を小さくできます。
ローンの契約条件や残高によって最適な対応は異なるので、金融機関や専門家にシミュレーションしてもらうのがおすすめです。
2. 預金は「金利差」に注目
預金金利は銀行によって差があります。特にネット銀行はメガバンクより高めの金利をつける傾向があります。
- 定期預金やキャンペーン金利を活用する
- インフレ率との比較を意識して、「名目」ではなく「実質」でプラスかどうかを考える
ただし、預金金利が上がってもインフレに追いつかなければ資産の目減りは避けられません。長期的には投資とのバランスも重要になります。
3. 投資は「分散」と「債券の復権」
金利上昇局面では株式市場が調整するリスクがありますが、逆に債券や国債の魅力が高まります。
- 個人向け国債(変動10年)
金利上昇に応じて利息が増える仕組みのため、インフレ対応に有効です。 - 債券投資ファンド
新規に買う債券の利回りが高くなるため、長期投資での安定収益源になります。 - 株式投資は無理に手を広げず、分散と長期目線を意識
「金利上昇で株価が下がった局面こそ、優良企業の株を安く買えるチャンス」と考える投資家もいます。
4. 家計全体を見直すチャンスに
金利の変化は「お金の値段の変化」です。物価上昇や金融政策の動きと連動するため、家計を点検する良い機会になります。
- 毎月の固定費(ローン、保険料、光熱費など)を改めて確認
- 借金と貯金のバランスを見直す
- 老後資金や教育資金など、長期の資金計画を金利上昇を前提に調整
まとめ
金利上昇は「借りる人」にとっては逆風、「貯める人」にとっては追い風です。
しかしインフレが進めば、預金だけでは資産が目減りするリスクもあります。
大切なのは、自分の家計のどの部分が金利に敏感なのかを知り、早めに手を打つこと。
金利のニュースを「自分ごと」として捉える習慣を持つだけでも、将来の安心につながります。
📌参考:日本経済新聞(2025年9月17日付夕刊)マネー相談「黄金堂パーラー」
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
