車の持ち方が多様化する中で、購入・残クレ・リース・サブスク・カーシェアのどれを選ぶべきか、悩む人が増えています。
物価高や車両価格の上昇も続き、「月々の負担を抑えたい」「突発費用は避けたい」といったニーズはより強くなっています。
本総集編では、第1〜5回の内容を横断的に整理し、自分に合った車との付き合い方を判断するための最終ガイドとしてまとめました。
1. 残価設定クレジット(残クレ)の本質
残クレは、契約満了時の残価を差し引いた金額を支払うため、月々の負担を抑えられます。
ただし注意すべき点があります。
- 金利は車両価格全体に発生する(残価にも利息)
- 総額は一般のローンより高くなる場合がある
- 走行距離制限や車両状態による追加費用
- 返却・乗り換え・買取の3択が必要
月々の安さだけで判断せず、総額と条件を必ず確認することが重要です。
2. マイカーリース:費用を“定額化”したい人に
マイカーリースは、税金・自動車検査費用・メンテナンス費用が月額に含まれ、支出が安定します。
- 頭金不要
- 中途解約は不可(違約金が発生)
- 任意保険は別契約のケースが多い
- 5〜7年の長期契約が中心
- 残価精算の有無に注意
管理の手間を減らしつつ一定期間同じ車に乗りたい人に向いています。
3. サブスク型サービス:最も“手間がない”乗り方
サブスクは、任意保険や整備費用まで含む“オールインクルーシブ”が特徴です。
- 車のすべてを月額だけで完結
- 1〜3年など短期契約も多い
- 乗り換えがしやすい
- 車種の選択肢はやや少なめ
- 契約満了後の買い取り不可が多い
費用は割高ですが、
「車にかかる手間をゼロにしたい」「最新車に乗りたい」
という人に合います。
4. カーシェア:利用頻度が少ない人には最強の選択肢
利用回数が少ない人にとって、カーシェアは圧倒的に経済的です。
- 週1回利用 → 5年間で40〜70万円
- 週2〜3回利用 → 100〜160万円
- ほぼ毎日利用 → 所有より割高になる
都市部のように駐車場代が高い地域では、
「持たないほうが合理的」
というケースが非常に多くなります。
5. 年間走行距離=損益分岐点
車を持つかどうかの分かれ目は、年間走行距離です。
年間3,000km(週1回程度)
⇒ カーシェアが圧倒的に安い
年間5,000〜7,000km(週3〜5回)
⇒ 地域・生活次第で分岐
年間1万km以上(ほぼ毎日)
⇒ 所有が前提(購入・残クレ・リース)
6. EV(電気自動車)の費用構造
EVは燃料費・メンテナンス費は安いものの、別のコスト要因があります。
メリット
- 1kmあたり燃料費が3〜6円
- 故障リスクが低く、メンテ費も安い
- 自宅充電ならランニングコストが低い
デメリット
- 車両価格が高い
- バッテリー劣化(10〜20万km)
- 外出先充電の費用が高め
- 自宅充電設備の初期費用が必要
EVは、
自宅充電ができて年間走行距離が多い人に向く
という結論になります。
7. 維持費を最小化する車選び
維持費は次の6つで決まります。
- 本体価格(残価含む)
- 燃料費
- 保険料
- 自動車税
- メンテナンス費
- 駐車場代
総額を安くしたいなら、最適解は次のとおりです。
最安を目指す
▶ 軽自動車、または安全装備付きコンパクトカー
長距離走行が多い
▶ ハイブリッド車
自宅充電が可能
▶ EV
駐車場代が高い都市部
▶ カーシェア併用
8. 地域差という“最大の変数”
車のベストな持ち方は居住地で大きく変わります。
都市部
- 駐車場代が高い(月2〜3.5万円)
- カーシェアが豊富
→ 所有しないほうが合理的な場合が多い
郊外・地方
- 駐車場代が無料〜安い
- 車が生活必需品
→ 所有が現実的でコスパ良い
地域差は最終判断において極めて重要です。
9. 最適な車の持ち方(タイプ別の結論)
◆ 残クレが向く人
- 月々の負担を抑えたい
- 常に新しい車に乗りたい
- 走行距離が少ない
◆ リースが向く人
- 支出を完全定額化したい
- 税金・車検の手間を省きたい
- 同じ車に長期で乗る
◆ サブスクが向く人
- 任意保険含めて月額に一本化したい
- 手間ゼロでカーライフを送りたい
- 短期間で乗り換えたい
◆ カーシェアが向く人
- 年間3,000〜5,000km以下
- 都市部在住
- 費用を最小化したい
- 車を“必要なときだけ”使う
◆ 通常購入が向く人
- 年間1万km以上走る
- 車にこだわりがある
- 長く同じ車に乗りたい
- 自宅駐車場が安い
結論
車の持ち方は「月々いくら払うか」だけでは判断できません。
重要なのは、
- 年間走行距離
- 居住地域(駐車場代・交通環境)
- 車を使う頻度と用途
- 総費用(5年間ベース)
- 家族構成・将来の生活の変化
といった複数の要素を総合的に捉えることです。
本シリーズが示したのは、
「誰にでもベストな選択肢は存在しない。ベストは人によって異なる」
ということです。
車を所有することは生活の質を左右し、固定費にも大きな影響を与えます。
今回の総まとめが、読者が自分に最適な車の持ち方・使い方を選ぶうえでの参考となれば幸いです。
出典
・日本FP協会「トレンドウォッチ」コラム(残価設定クレジット/マイカーリース・サブスク解説)
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。

