資産を築いた世帯の特徴 ― 3000万円以上の世帯はなぜ増えたのか?

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日銀の統計によれば、家計の金融資産は2239兆円と過去最高を更新しました。その内訳をみると、3000万円以上の資産を持つ世帯の割合は2024年時点で16.8%と微増しています。全体としては「資産ゼロの世帯」が増える一方で、一定数の世帯は着実に資産を築き、老後も安定した生活を送れる見通しを持っています。

今回は、この「資産を築いた世帯」が持つ特徴を整理してみます。


1. 株高とNISAの追い風を活用できた世帯

2024~25年にかけて日経平均株価は4万円台に到達しました。世界的な金融緩和やAIブームを背景に株価は上昇基調にあり、投資をしていた世帯は確実にその恩恵を受けています。

とくに新NISAが2024年からスタートし、年間投資枠が大幅に拡大したことが追い風となりました。制度が始まる以前から投資を続けていた人はもちろんですが、制度を機に投資信託や株式を購入した人も少なくありません。

投資に目を向け、実際に行動できた世帯は、この数年で資産を増やす機会をしっかりとつかんだと言えるでしょう。


2. 不動産や年金など「複数の柱」を持っている

資産を築いた世帯の多くは、金融資産だけに頼っていません。

  • マイホームを所有して住宅ローンを完済
  • 企業年金や退職金を確保
  • 不動産投資や賃貸収入を得ている

といったように、収入源や資産の柱を複数持っているのが特徴です。

老後に入る定期的な年金収入に加え、金融商品や不動産からの収益があることで、資産の取り崩しに余裕が生まれます。こうした世帯は「資産を使っても減らない仕組み」を早くから作り上げているのです。


3. 消費と節約のバランスが取れている

資産を築いた世帯には、派手な消費よりも堅実な生活習慣が目立ちます。

  • 日常の生活費を抑える工夫を継続
  • 大きな支出では値段だけでなく「将来価値」を考慮
  • 無駄な借金を避け、利息負担を減らす

「我慢する節約」ではなく、お金を使うところと抑えるところのメリハリをつけることが、長期的に資産を残す力になっています。


4. 金融リテラシーの高さ

資産を築いた世帯のもう一つの共通点は、金融リテラシーの高さです。

  • 投資信託や株式に分散投資してリスクを抑える
  • 長期目線での積立を続ける
  • 制度変更(NISAやiDeCo)を積極的に利用

特別な才能や高収入だけでなく、情報を学び、正しい選択を続ける習慣が資産形成につながっています。

金融リテラシーの高さは「資産を守る力」にもなり、詐欺や過剰なリスク投資から身を守ることにも役立っています。


5. 健康と働き方の維持

意外かもしれませんが、「健康」も資産形成に直結します。

  • 健康であれば働き続けることができ、収入を得られる
  • 医療費や介護費用の負担を抑えられる
  • 活動的な生活が社会的なつながりや情報の入手につながる

近年は高齢者の就業率が上昇しています。65歳以上でも働き続ける人が増え、**「長く働くことで年金だけに頼らない生活」**を維持できる世帯は資産を減らしにくいのです。


6. 早期からの備えと家族の協力

資産を築いた世帯は、老後に向けた備えを早い段階から始めていました。

  • 若い頃から少額でも積立を続けていた
  • 保険や制度を理解して活用していた
  • 家族でライフプランを共有し、教育費や住宅ローンを計画的に管理した

また、家族の協力や二馬力の収入も大きな支えになっています。夫婦で資産形成の方向性を一致させ、世帯全体で資産を積み上げたことが成功につながっています。


資産を築けた世帯の「裏側」

一方で、資産を築いた世帯は「運」に助けられた部分もあります。

  • 株価や不動産価格の上昇局面に投資していた
  • 健康や雇用が安定していた
  • 大きなリスク(病気・リストラ・倒産)を免れた

つまり、努力だけでなく「経済環境」や「偶然の要素」も大きく作用します。この点は資産を築けなかった世帯との分かれ目となり、格差を広げる要因にもなっています。


まとめ

3000万円以上の資産を持つ世帯の特徴を整理すると、

  • 株高やNISAの恩恵を受けて投資で資産を増やした
  • 複数の収入源や資産の柱を持っていた
  • 消費と節約のバランスがよい
  • 金融リテラシーが高く、制度を活用している
  • 健康を維持し、長く働き続けられる
  • 早期からの準備と家族の協力があった

といった要素が浮かび上がります。


👉 次回は、「二極化が進むことで社会全体にどんな影響が出るのか?」をテーマに、資産格差が高齢者世代や社会保障制度に与えるインパクトを考えていきます。


📌参考:2025年9月19日付 日本経済新聞朝刊


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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