都市部を中心としたマンション価格の高騰が、衆院選の重要な争点として浮上しています。東京23区では新築分譲マンションの平均価格が1億円を大きく超え、「億ション」が特別な存在ではなくなりました。購入を断念した世帯が賃貸に流れ、家賃も上昇するという連鎖が起きています。
各党は外国人投機の抑制、家賃補助、空室税などの政策を掲げていますが、果たしてこれらはどこまで実効性を持つのでしょうか。本稿では、マンション高騰の背景と各党の公約を整理し、政策の限界と今後の論点を考えてみます。
マンション高騰の現状
不動産経済研究所によると、2025年の東京23区における新築分譲マンションの平均価格は1億3613万円と、前年比で2割以上上昇しました。中古物件を含めても、ファミリー向け住宅で1億円超が当たり前になりつつあります。
この結果、住宅購入を諦めて賃貸を選択する世帯が増え、賃貸需要の増加が家賃の上昇を招いています。住居費は家計支出の中でも負担感が強く、海外では政権への不満や反発につながることも多い分野です。
各党が掲げる主な対策
与党の自民党は、首都圏を中心とした投機的売買の抑制を公約に掲げています。外国人による投機的取引が価格上昇の一因になっているとの認識です。
日本維新の会も、外国人・外国資本による土地取得規制を主張し、連立合意にも明記しました。
一方、中道改革連合は若者や子育て世帯を対象とした家賃補助制度の創設を打ち出しています。家計負担の軽減効果は期待されますが、需要を刺激し、結果的に賃料水準を押し上げるリスクも指摘されています。
国民民主党は、中低所得者向けの家賃控除に加え、居住目的でない住宅に課税する「空室税」を提案しました。投機的な取引が集中する地域を対象に、自治体が空き家に課税する仕組みです。
海外事例と政策効果の限界
空室税の先行事例としては、カナダ・トロント市があります。評価額の一定割合を課税し、正当な理由がある場合は免除する制度ですが、人口流入は続き、住宅価格は高止まりしています。
この事例が示すのは、税や規制だけで価格上昇を抑えることの難しさです。専門家からは、転売規制や課税は「焼け石に水」との指摘もあります。
構造要因としての需給問題
マンション価格の上昇は、投資マネーだけが原因ではありません。都市部では大規模物件の適地が乏しく、供給戸数が減少しています。加えて、建設資材や人件費の上昇、共働き世帯による利便性重視の住まい選択など、供給・需要の両面で構造的な要因があります。
政府の人口推計では、2050年までに東京23区の多くが人口減少に転じる見込みとされていますが、当面は都心回帰の流れが続くとの見方が一般的です。
空き家活用というもう一つの選択肢
全国には約386万戸の空き家が存在し、その中には駅から1キロ圏内で耐震性も確保された物件が多数あります。新築供給に偏ってきた住宅政策を見直し、既存住宅を適正価格で活用する仕組みづくりも重要な論点です。
東京都が進める「アフォーダブル住宅」のように、市場価格より抑えた家賃で提供する取り組みは一定の意義がありますが、日本で新築を大量供給して価格を安定させるのは現実的とは言えません。
おわりに
マンション高騰対策は、選挙向けの分かりやすい政策を打ち出しやすいテーマですが、短期的な規制や補助だけで解決できる問題ではありません。
人口動態を踏まえた需給の見通し、既存住宅の有効活用、都市への過度な集中をどう是正するかといった、中長期の視点が欠かせません。今回の衆院選をきっかけに、住宅政策全体の方向性がどこまで深く議論されるのかが問われています。
参考
・日本経済新聞「衆院選、マンション高騰対策が論点に 都市部向け公約並ぶ」
・不動産経済研究所「首都圏新築分譲マンション市場動向」
・総務省「住宅・土地統計調査」
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。

