自民党総裁選2025:市場が読む「小泉円高・高市株高」の行方

政策

2025年9月22日に告示された自民党総裁選。候補者5人の政策だけでなく、金融市場もこの選挙に大きな関心を寄せています。株式・為替・債券市場はすでに「次の首相は誰か」を織り込み始めており、結果次第で相場が大きく揺れ動く可能性があります。


1. 株式市場 ― 「高市トレード」が先行

石破首相が辞任を表明した9月7日以降、株式市場では「高市トレード」と呼ばれる現象が見られています。

  • 高市氏優勢観測で株高
    海外短期筋が関連株を積極的に買い、日経平均は最高値圏で推移。ピクテ・ジャパンの糸島孝俊氏は「高市氏が勝利すれば、年末にかけて日経平均は4万8000円に達する可能性がある」と予測しています。
  • 小泉氏当選なら調整も
    小泉氏は財政健全化路線を引き継ぐと見られ、株価を押し上げるエネルギーは乏しいとの見方が大勢。りそなHDの武居大暉氏は「株価は若干の調整がありそう」と指摘しています。
  • その他の候補は限定的
    林氏、小林氏、茂木氏については「石破路線の継続」と受け止められ、株式市場への影響は小さいとみられています。

2. 為替市場 ― 小泉円高 vs 高市円安

為替市場でも候補者による政策スタンスの違いが意識されています。

  • 小泉氏
    財政健全化色が強く、日銀の利上げを妨げにくいとの評価。あおぞら銀行の諸我晃氏は「1ドル=145円程度への円高が進む可能性がある」と分析しています。
  • 高市氏
    積極財政・金融緩和色が強く、三井住友銀行の鈴木浩史氏は「勝利すれば対ドルで2円程度円安が進む」と見ています。
  • 林氏ら他候補
    石破路線の延長とされ、為替への影響は限定的。市場参加者も「方向感は出にくい」と冷静です。

3. 債券市場 ― 超長期金利に揺れ

債券市場は財政運営への懸念を敏感に織り込みます。

  • 小泉氏当選シナリオ
    財政悪化への警戒が和らぎ、30年国債利回りは3%程度まで低下するとの予測(SBI証券・道家映二氏)。
  • 高市氏当選シナリオ
    積極財政が強まれば、長期金利上昇リスク。アクサIMの木村龍太郎氏は「30年債利回りが3.4%台に達する場面もありうる」と見ています。
  • 林氏・小林氏・茂木氏
    石破政権の延長線とされ、金利変動は比較的落ち着くとみられています。

4. 過去の教訓と今回の注目点

2024年の総裁選では「高市優勢」を織り込んでいた市場が石破氏勝利で逆回転し、株価・円相場が急変しました。今回も同じリスクが意識されています。

  • 討論会の影響
    和キャピタルの村松一之氏は「候補者が5人と少なく、討論会で小泉氏にボロが出やすい」と分析。小泉氏劣勢なら「高市トレード」が再加速する可能性も。
  • 市場の神経質な動き
    投開票の10月4日までは、政策発言や世論調査に敏感に反応し、相場が乱高下する展開が予想されます。

5. まとめ ― 「市場が選ぶ首相像」

市場が期待するのは単なる人気ではなく、財政と金融政策の整合性、そして成長戦略の実効性です。

  • 小泉氏なら「円高・株調整・金利低下」
  • 高市氏なら「株高・円安・金利上昇」
  • 他3氏は「石破路線継続で小幅な反応」

総裁選は日本経済の行方を占う「市場イベント」でもあります。結果次第で株価・為替・金利が大きく揺れる可能性があり、10月4日の投開票に向けて緊張感が高まっています。

📌 補足コメント(税理士FP視点)
株式や為替の変動は、直接的には投資家向けの話題に見えますが、実は私たちの生活にも影響します。

  • 株高 → 投資信託や株式を持つ家庭の資産増
  • 円高 → 輸入品価格が下がり、生活費にプラス
  • 円安 → 逆に食料品・エネルギー価格が上がり、家計負担増

特に退職金や年金を投資に回す高齢世代にとっては、市場の方向感が老後の資産寿命を左右します。


📌 参考記事(2025年9月23日 日本経済新聞)

  • 「総裁選、市場の見方 『小泉円高・高市株高』」
  • 「自民総裁選、経済・政治再生競う 5氏出馬」

という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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