自民党総裁選:積極財政か、規律配慮か ― 市場が注視する「次の一手」

FP

石破首相の辞任表明を受け、自民党の次期総裁選が本格化しています。茂木敏充氏、小林鷹之氏、小泉進次郎氏、高市早苗氏らが名乗りを上げ、まさに「ポスト石破」の顔ぶれが揃ってきました。

市場関係者が最も注目しているのは、各候補の税財政政策と金融政策です。日本経済の先行きを左右する「積極財政」か「財政規律」かという選択が、株価や国民生活に直結します。

候補者ごとのスタンス

茂木敏充氏:財政規律を重視

出馬会見で「1人2万円の現金給付は見送るべき」と明言。財政に責任を持つ姿勢を強調しました。金融政策については「異次元緩和の段階的な正常化」を支持し、日銀に判断を委ねる立場。石破路線を比較的引き継ぐ「規律派」と言えます。

小林鷹之氏:消費税減税も選択肢

一律給付には否定的な一方で、消費税減税について「聖域を設けない」と柔軟姿勢を示しました。財政拡張の余地を残す現実的な中道派として、市場からは注目されています。

小泉進次郎氏:低所得者への給付に前向き

5月の講演では「年金生活者など賃上げの恩恵が届かない層への現金給付」を支持。財政拡張に対しては石破氏よりやや積極的。ただし「財政にこだわり成長をとめてはならない」と発言した経緯もあり、バランス型の姿勢です。

高市早苗氏:積極財政+金融緩和継続

食料品消費税を0%にとの持論を持ち、強力な積極財政派。金融政策でも「金利を今、上げるのはあほや」と日銀をけん制した経緯があります。短期的には株価を押し上げる可能性がある一方、インフレ過熱リスクを懸念する声もあります。

市場の見方

  • 短期的株価効果
     積極財政・金融緩和を掲げる高市氏の路線なら、株価は上昇しやすい。
  • 中長期的リスク
     インフレ加速や財政悪化によって、かえって成長率を押し下げる可能性も。
  • 規律派の小泉氏が総裁に
     一時的には株安要因になるが、構造改革や企業統治改革が進めば、中長期的な株高につながる可能性。

第一生命経済研究所の熊野英生氏は「成長戦略の構想力が問われる」と指摘。ソシエテ・ジェネラル証券の斎藤勉氏は「海外投資家はバラマキよりも構造改革を期待している」と述べています。

与野党のねじれが政策に影響

与党は参院選で大敗し、衆参で過半数を割りました。補正予算や法案の成立には野党の賛成が不可欠です。野党は「消費税減税」や「現金給付」といった財政拡張策に前向きですが、インフレ環境下でのバラマキは財政悪化リスクを高めかねません。国債の利払い増加も現実の脅威となります。

税理士・FP視点からの考察

個人や企業にとって重要なのは「政策が一時的な景気対策に終わるのか、それとも持続的な成長戦略につながるのか」です。

  • 個人向けの影響
     現金給付や消費税減税は一時的な可処分所得の増加をもたらしますが、インフレや税制変更のリスクも伴います。特に固定収入の年金世帯は影響を受けやすく、生活設計に注意が必要です。
  • 企業向けの影響
     構造改革や企業統治改革が進めば、中長期的な成長が見込めます。一方で、バラマキ型の政策が長期化すれば国債金利上昇を通じて資金調達コストが上昇し、経営に影響する可能性があります。

まとめ

次期総裁選は「積極財政 vs 財政規律」の構図で展開される見通しです。

  • 短期的な景気押し上げを取るか
  • 中長期的な財政健全性を重視するか

市場も国民も、その選択を注視しています。

私たち生活者や投資家にできるのは、目先の恩恵だけでなく、中長期的な持続性を見極め、家計・資産運用の戦略を柔軟に整えることです。

👉 次回は、候補者ごとの成長戦略案が私たちの暮らしや投資環境にどう影響するのかをさらに掘り下げて解説していきます。

(参考 2025年9月13日付 日経新聞朝刊)

という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

タイトルとURLをコピーしました