次期総裁選では、財政政策だけでなく金融政策も大きな争点です。
金利引き上げに慎重な候補、異次元緩和からの正常化を唱える候補など、スタンスの違いが株価や国債市場に直結します。
私たちの生活に直結する「金利」と「物価」。それをどうコントロールしていくのか、候補者ごとに整理してみましょう。
候補者ごとの金融政策スタンス
茂木敏充氏 ― 正常化を目指す規律派
- 「異次元緩和を段階的に正常化」と発言。
- デフレ脱却を見極めつつ、日銀の判断に委ねる慎重姿勢。
- 市場には安心感を与える一方、株価の短期的な伸びしろは限定的。
小林鷹之氏 ― バランス型
- 金融政策については明確な主張は少ないが、財政と同様「柔軟に検討」する立場。
- 消費税減税を排除しない姿勢と合わせ、現実路線で市場に向き合う。
- 「市場を揺らさない穏健派」として評価されやすい。
小泉進次郎氏 ― 成長優先型
- 前回総裁選で「財政にこだわり成長を止めてはならない」と発言。
- 金融政策も「成長を阻害しない方向」を重視するとみられる。
- 海外投資家からは「構造改革を伴えば中長期でプラス」との見方も。
高市早苗氏 ― 金融緩和継続派
- 「金利を今、上げるのはあほや」と発言し、日銀の利上げをけん制。
- 積極財政と組み合わせれば短期的に株価を押し上げやすい。
- ただしインフレ加速や円安進行のリスクも大きい。
市場の反応シナリオ
シナリオ1:積極財政+金融緩和(高市路線)
- 株価:短期的には上昇(消費や投資が刺激される)
- 金利:低金利維持で資金調達コストは低下
- リスク:インフレ過熱・円安進行 → 輸入物価高で家計に打撃
シナリオ2:規律派+金融正常化(茂木路線)
- 株価:短期的には停滞 → 海外投資家の信認は維持
- 金利:段階的利上げで国債費用増、企業の資金調達コスト上昇
- メリット:中長期的な財政健全性が評価され、国債市場は安定
シナリオ3:中道・現実派(小林、小泉路線)
- 株価:柔軟な政策運営で急落は避けられる
- 金利:緩やかな調整を行い、市場の期待をつなぎ止める
- 課題:方向性が不明確になり、市場が「様子見」に傾く可能性
税理士・FP視点からの考察
- 生活者への影響
金利が上がれば住宅ローンやカードローンの返済負担が増加。特に変動金利型を利用している家庭は注意が必要です。
一方で、利上げは預金金利の上昇につながり、預貯金中心の世帯にはプラス効果も。 - 企業への影響
低金利が続けば設備投資はしやすいが、インフレで仕入れコストが膨らむリスクあり。
利上げで資金調達コストは増えるが、海外投資家の信認を得やすく、中長期的な資金流入は期待できる。
まとめ
金融政策は、短期的な株価や生活コストだけでなく、中長期的な経済の安定性を左右します。
- 高市氏のような緩和継続派は「即効性」はあるが「副作用」も大きい。
- 茂木氏のような規律派は「痛み」を伴うが「持続性」を確保しやすい。
次期総裁がどの路線を選ぶのか――。市場も私たち生活者も、その影響を冷静に見極める必要があります。
👉 次回は「市場シナリオ編」として、候補者ごとの政策が株価・金利・為替にどう波及していくかをさらに掘り下げます。
(参考 2025年9月13日付日経新聞朝刊)
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
