介護保険の訪問介護でできるのは、食事や排せつの介助、掃除や洗濯、通院の乗り降りなどです。
でも、「草むしり」「ペットの世話」「家族のための家事」といったことは対象外。
その“すき間”を埋めるために、外出支援や家事代行といった保険外サービスの需要がどんどん増えています。たとえば、SOMPOケアでは買い物や通帳記帳に付き添う「プライベートサービス」を展開しています。利用者の中には、それをきっかけに体力を取り戻し、要介護度が軽くなった方もいるそうです。
なぜ伸びているのか?
背景には2つの流れがあります。
- 一人暮らし高齢者の増加
2050年には65歳以上の独居は1,000万人を超えると見込まれています。 - ビジネスケアラーの増加
働きながら親を介護する人は2030年に約318万人。介護を全部自分で担うのは難しく、外部サービスの力を借りざるを得ない状況です。
こうした社会の変化で、保険外の介護・生活支援サービスは2050年に市場規模16兆円超まで膨らむ見込みだといいます。
どのくらい費用がかかる?
料金の一例をご紹介します。
- 訪問介護(保険外)
日中:1時間あたり約3,500円
夜間:1時間あたり約4,200円
(最低2時間利用から) - 家事代行
民間業者:1時間3,000~5,000円
社会福祉協議会やシルバー人材センター:1時間1,000円前後
ファイナンシャルプランナーによると、掃除や洗濯、病院送迎などを“標準的に”利用すると月4万円前後が目安になるそうです。30年間続けると1,400万円超。なかなかの金額ですよね。
「老後2000万円」で足りるのか?
2019年に話題になった「老後2000万円問題」では、夫65歳・妻60歳の無職世帯が30年暮らすと2,000万円不足するとされました。
ただ、最新の統計では不足額は約1,240万円に縮小しています。
しかし、ここに保険外サービスの費用(1,400万円程度)を加えると…
合計で2,600万円超。
つまり「2000万円」だけを目安にしていると、実際には足りなくなる可能性が高いのです。
どう備えればいい?
- どのサービスをどのくらい使うかをイメージする
→ 週1回の掃除? 月2回の買い物同行? 具体的に書き出す。 - 地域の安価なサービスも調べる
→ シルバー人材センターや社協なら料金は抑えられます。 - お金の使い方の優先順位を決める
→ 自分の生活の質を上げたいのか、家族の負担を減らしたいのか。目的で判断基準が変わります。
まとめ
介護保険があるから安心…と思っていても、実際の生活では保険外のサポートが必要になるケースが多いものです。
「老後2000万円」という数字に縛られず、自分や家族にとって現実的な金額はいくらかを考え、早めに準備しておくことが安心につながります。
👉 この記事は、日本経済新聞「老後の家事・外出支援『2000万円』は不足?」(2025年9月28日付)を参考にまとめました。
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
