経済成長への戦略をもっと明確に:日本のこれからを考える

政策

日本経済は今、緩やかに回復の道を歩んでいます。日経平均株価は史上最高値圏を維持し、日銀も長らく続けてきた異次元緩和から「正常化」へと舵を切り始めています。米国のトランプ前大統領が打ち出す関税政策など外部要因の不安もありますが、日本経済には確かな回復の兆しがあると言えるでしょう。

しかし、目先の物価高対策にとどまらず、中長期の経済成長や社会保障・財政の持続可能性をどう高めていくか――。次期リーダーには、その戦略を明確に示す責任があります。


消費税の役割と社会保障財源

7月の参院選で自民党は「消費税減税」を打ち出さず、「責任政党」としての立場を明確にしました。なぜなら、消費税は社会保障の重要な財源だからです。

2040年には国民医療費がピークを迎えると予測されています。人口減少と高齢化が同時に進む日本にとって、医療・年金・介護といった社会保障を安定して支える仕組みは不可欠です。そのためには、財源の柱である消費税の役割を国民に丁寧に説明し、与野党が一体となって制度改革に取り組む必要があります。


物価高への対応と生活支援のあり方

日銀は金利を引き上げることで経済全体の需要を抑制し、物価を安定させようとしています。しかし、コメやガソリンといった特定品目の急な値上がりまではカバーしきれません。

たとえばコメは、政府が備蓄米を市場に放出することで一時的に価格を抑えましたが、なお前年より7割も高い水準にあります。今後は「生産を抑えて米価を維持する」従来の政策から脱却し、「増産を基本とする」方向にシフトすることが求められます。

また、ガソリン税の暫定税率廃止は与野党ともに賛成していますが、これは単純に減税すれば良い話ではありません。年間1.5兆円もの税収減をどう補うのか。脱炭素社会やEV普及を見据えた恒久的な代替財源が必要です。


実質賃金を上げ、中間層を豊かにする

賃金が物価上昇を上回らなければ、家計の豊かさは実感できません。政府は最低賃金や公務員給与、医療・介護従事者の報酬引き上げなどを通じて、民間賃金を押し上げる仕組みを整えることができます。

さらに、「給付付き税額控除」のように、非課税世帯にも恩恵が届く仕組みを早急に整える必要があります。情報を政府・自治体で共有し、簡素で公平な制度にしていくことが不可欠です。


経済成長のカギは「技術革新への投資」

長期的な経済成長を実現するには、やはり「パイの拡大」が必要です。各候補者が挙げるAI、半導体、量子技術、再生可能エネルギー、核融合といった分野は間違いなく重要です。

しかし大事なのは「どう実現するのか」という具体的な道筋です。企業が投資に踏み切れるよう研究開発減税を充実させたり、規制を見直したりすることで、民間の活力を引き出すことが必要です。

内部留保は過去最高の636兆円に達しています。これを研究開発や設備投資に回せるような政策誘導が求められます。成長する企業が増えれば、労働市場の流動化や雇用の安定にもつながります。


おわりに

経済成長を実現するために必要なのは、単なる一時的な給付や減税ではなく、社会保障の持続性を担保しつつ、技術革新を後押しする「未来への投資」です。

中間層が豊かさを実感できる社会をつくるには、政府が市場を支配するのではなく、公正な競争を促し、必要なセーフティネットを整えるという「責任ある補完的役割」に徹することが欠かせません。

日本経済を本当に強くするリーダーは、こうした長期的な視点を持ち、国を開き、成長戦略を明確に示すことができる人物でしょう。


👉 みなさんはどう思いますか?
消費税や社会保障のあり方、実質賃金の問題、技術革新への投資――。どれも生活に直結するテーマです。次期リーダーに求めたい政策を、ぜひ一緒に考えてみましょう。


📌 参考 日本経済新聞朝刊(2025年9月27日)


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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