確定拠出年金の議論は「積み立て」中心ですが、本当に重要なのは退職後の取り崩し方です。金融資産は“使い方”次第で寿命が大きく変わり、取り崩しの順番やペースを誤ると、老後資金が早期に枯渇するリスクが高まります。
本稿では、DC・iDeCoを前提にした退職後の取り崩し戦略を、長寿化時代の視点から整理します。
1. 退職後も“運用しながら取り崩す”のが前提に
従来の考え方は
「60歳で受取 → 安全資産で保管」
が一般的でした。
しかし人生100年時代では、
退職後も20〜30年の運用期間がある
と考える必要があります。
2. 最適な取り崩し方の基本ルール
以下の3つを押さえると、資産寿命を伸ばしやすくなります。
(1)“収入の少ない時期の口座から取り崩す”
- iDeCoの一時金 → 退職所得控除を最大限活用
- 公的年金が少ない60代前半 → NISAで補う
(2)取り崩しペースは「定額」より「定率」
研究では、
- 毎年一定額を取り崩すより
- 資産残高の一定割合を取り崩す方が
資産が枯渇しにくい
とされています。
例:
- 毎年4%取り崩し
(「4%ルール」)
(3)資産配分は徐々に安定化
退職後は
- 株式40〜60%
- 債券40〜60%
の範囲で変動させるのが標準的です。
3. iDeCoの受取タイミング
iDeCoは
- 一時金
- 年金
- 併用
の3つの受取方法があります。
一時金の強み
退職所得控除を使えば税負担が極めて低い。
年金の強み
公的年金等控除が適用され、平均的な所得層では税額が抑えられやすい。
4. “制度の順番”を考えると取り崩しが最適化される
取り崩し順の一例:
- NISA(柔軟に引き出せる)
- 課税口座(特定口座)
- iDeCo(税優遇の影響が大きい)
理由:
引き出しにくい資産ほど後回しにした方が、税優遇を長期間享受できるためです。
結論
老後資金は「積み立てよりも取り崩しの方が難しい」といわれます。取り崩し方を工夫することで資産寿命は大きく変わり、特に“順番”と“ペース”が決定的な要素になります。
DCで築いた資産を最大限活かすためには、退職後の運用と取り崩しをセットで考えることが不可欠です。
参考
- 海外退職研究(4%ルール等)
- 金融庁資料
- 日本経済新聞 記事
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
