ターゲットデート型投資信託は、「年齢に応じて自動でリスクを調整する」という便利な仕組みです。一方、NISAは自由度が高く、資産形成の「攻め」の部分を担います。
近年では、これらを組み合わせた「ターゲットデート型×NISA運用」を採用する人も増えています。
本稿では、ターゲットデート型で“土台”を作り、NISAで“成長”を取りにいく併用戦略を整理します。
1. 二つの制度を組み合わせる理由
- ターゲットデート型(DC・iDeCo)
→ 自動調整により老後資金の安定性を確保 - NISA
→ 攻めの投資も可能で、自由度が大きい
両者を併用すると、
「守りの自動化」+「攻めの柔軟性」
という理想的な設計になります。
2. 役割分担の基本
● DC側:ターゲットデート型で“老後資金の基礎”をつくる
- 年齢に応じて株式比率を下げていく
- 加入者がリバランスしなくてもよい
- 長期運用の軸として安定性が高い
● NISA側:戦略的な“成長枠”
- 米国株(S&P500)
- 全世界株(オルカン)
- 先進国株式
- あるいはETF(高配当・AI関連など)
ターゲットデート型が保守的になる年代でも、NISAは成長ポテンシャルを維持できます。
3. 実務的な組み合わせ例
【30代】
- DC:ターゲットデート型(2045・2050など)
- NISA:全世界株 or S&P500
→ “成長の最大化”がテーマ。
【40代】
- DC:ターゲットデート型
- NISA:全世界株+テーマ型ETFを少し
→ “成長+リスク管理”がテーマ。
【50代】
- DC:ターゲットデート型(株式比率が徐々に低下)
- NISA:債券ETFや高配当ETFを混ぜる
→ “老後の取り崩しを意識した構成”。
4. 注意点:重複に要注意
ターゲットデート型には標準で「国内外の株式」が入っているため、
NISA側で米国株ばかり買うと過度に偏る
というリスクがあります。
- 何を
- どれくらい
- どの制度で持つか
を一度棚卸しすることが重要です。
結論
ターゲットデート型とNISAの併用は、老後資金の安定性と成長性を同時に確保できる合理的な方法です。ただし、両制度での“重複”が生じやすいため、ポートフォリオ全体を俯瞰した設計が欠かせません。
自動調整の強みを活かしながら、NISAの自由度を戦略的に取り入れることが成功の鍵です。
参考
- ターゲットデートファンド運用会社資料
- NISA制度概要(金融庁)
- 日本経済新聞 記事
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
