第6回:人生100年時代における「支え合い」と医療制度の持続可能性

FP
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医療制度の議論は、高齢者と現役世代の「どちらが得か・損か」という構図で語られがちです。
しかし人生100年時代、私たちは必ず「支える側」と「支えられる側」を行き来します。

  • 現役世代のときは、保険料や税金を通じて制度を支える
  • 高齢期になれば、医療制度に守られて安心して受診できる

立場は時間とともに移り変わり、世代間の関係は切り離せない「循環構造」になっています。

制度を守るための「バランス調整」

今回の軽減措置撤廃や2割負担の導入は、一見すると高齢者への負担増に映ります。
しかし背景には、医療費が急増する中で制度を持続可能にするための「バランス調整」という考え方があります。

  • 高額な医療費をカバーできる安心感
  • 高額療養費制度や医療費控除による救済措置
  • 所得に応じた負担割合の設定

これらの組み合わせによって、「すべての世代が必要な医療を受けられる仕組み」 が維持されてきました。

今後の課題と展望

今後の議論では、さらに次のようなテーマが浮上してきます。

  • 3割負担の対象拡大:高所得高齢者の負担割合をどう設定するか
  • 医療の効率化:ICTやAIを活用した診療効率の向上
  • 予防医療の強化:病気になる前に健康を守り、医療費を抑える仕組み
  • 全世代型社会保障:子育て・教育・介護・医療を横断的に支える制度設計

医療制度は「守りの仕組み」であると同時に、社会全体の持続性を高める「投資」でもあります。

私たち一人ひとりにできること

制度の改正は国が決めることですが、私たち個人にもできる準備があります。

  • 健康寿命を延ばすための生活習慣改善
  • 医療費の見える化と家計での備え
  • NISAやiDeCoなどによる老後資金形成
  • 家族との情報共有(医療・介護に備えるための話し合い)

こうした積み重ねが、自分自身を守り、同時に次の世代への「支え合い」にもつながります。


シリーズを通じてのまとめ

  • 2025年10月から、2割負担の高齢者に対する軽減措置が終了する
  • 対象者は約380万人、医療費の自己負担は確実に増える
  • 背景には医療費の増加と少子高齢化という社会的課題がある
  • 政治は「3割負担の拡大」など、さらに負担増を検討している
  • 制度を持続させるには、世代間での公平な「支え合い」が不可欠
  • 個人としても、家計や健康面での備えを始めることが重要

🖋️参考:日本経済新聞「高齢者医療費、軽減措置を撤廃」(2025年9月6日掲載)


👉 このシリーズを通じて、「制度改正は他人事ではなく、自分自身の未来の問題」であることを伝えてきました。
人生100年時代、医療制度の持続可能性は私たち一人ひとりの行動と選択にかかっています。


ということで、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、引き続きよろしくお願いいたします。

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