第5回:生活者への影響

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―医療費増加を家計でどう備えるか―

今回の軽減措置撤廃により、2割負担となる高齢者の毎月の窓口負担は確実に増えます。

例)医療費が月5万円の場合

  • 1割負担:5,000円
  • 2割負担(配慮措置あり):8,000円
  • 2割負担(配慮措置終了後):10,000円

つまり、毎月2,000円、年間では約24,000円の負担増 になります。
慢性的に医療機関へ通う方にとっては、決して小さくない金額です。

家計での備え方

高齢期の家計では「年金収入が固定化している一方で、医療・介護費用は増える」という特徴があります。
そこで、次のような備えが重要になります。

医療費の見える化

まずは 過去1年間に実際にかかった医療費を振り返る こと。
領収書や医療費通知をまとめておくことで、自分の家計にどれくらい影響があるか見えてきます。

高額療養費制度の活用

医療費が高額になった場合でも、高額療養費制度 によって自己負担には上限があります。
ただし、その上限は所得区分によって異なるため、自分がどの水準に当たるかを確認しておきましょう。

医療費控除・セルフメディケーション税制

確定申告で医療費控除やセルフメディケーション税制を利用できる場合があります。
所得税・住民税の負担軽減につながるため、医療費の領収書は捨てずに整理しておくことが大切です。

保険や貯蓄とのバランス

医療保険やがん保険に加入している方は、その保障内容をあらためて確認しましょう。
また、生活費の3~6か月分程度の流動性資金を確保しておくと、急な医療費にも対応しやすくなります。

現役世代にとっての備え

今回のテーマは75歳以上が対象ですが、「自分もいずれは対象になる」ことを忘れてはいけません。
40代・50代の現役世代にとっては、

  • 健康維持(予防医療への投資)
  • 老後資金のシミュレーション(年金+医療・介護費)
  • NISAやiDeCoによる資産形成

といった準備が「将来の医療費負担に備える」第一歩となります。


まとめ

  • 軽減措置撤廃により、年間数万円規模の負担増になる可能性がある
  • 医療費の見える化・高額療養費制度・税制優遇を上手に活用することが重要
  • 保険や貯蓄でリスクに備えるとともに、現役世代は今から資産形成と健康管理を意識することが大切

🖋️参考:日本経済新聞「高齢者医療費、軽減措置を撤廃」(2025年9月6日掲載)


👉 次回(第6回・最終回)は、「人生100年時代における『支え合い』と医療制度の持続可能性」 をテーマにまとめていきます。


ということで、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、引き続きよろしくお願いいたします。

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