前回は、個人加入型と企業導入型GLTDの違いを解説しました。
今回はさらに一歩踏み込み、「税制・社会保険の取り扱い」と「導入メリット」を整理していきます。
個人加入型の所得補償保険
税制上の扱い
- 保険料:全額自己負担。
- 控除:生命保険料控除や医療費控除の対象にはならない。
- 給付金:非課税。ただし、事業者の場合は「働けない間に経費が減る」という影響もあり、実質的に所得が増えたように見えるケースもあるため要注意。
社会保険との関係
- 健康保険や厚生年金による「傷病手当金」「障害年金」と重複して受給可能。
- ただし補償額の設定上限があり、所得の100%を超えないように設計される。
企業導入型(GLTD)の場合
税制上の扱い
- 保険料:会社負担分は福利厚生費として経費算入可能。
- 従業員負担分がある場合:給与天引きで処理することもできる。
- 給付金:従業員に支払われるときは非課税。
社会保険との関係
- 傷病手当金や障害年金と「併用」できる。
- 会社制度によっては、既存の休業補償制度との調整が必要。
- 例えば、傷病手当金で標準報酬月額の2/3が支給され、GLTDでさらに年収の50%が補償されると、実際には手取りベースで大きな安心につながる。
税理士・FPの視点
- 企業側のメリット
- 保険料は経費にできるため、税務負担を抑えつつ福利厚生を拡充できる。
- 「健康経営」や「人的資本投資」の一環として評価が高まりやすい。
- 従業員側のメリット
- 保険料を負担せずに安心を得られる。
- 給付金が非課税扱いとなるため、実際に手取りがしっかり守られる。
まとめ
- 個人加入型は自分の責任で準備するもの、保険料は控除対象外だが給付は非課税。
- GLTDは企業が福利厚生として導入するもの、保険料は経費処理でき、従業員の給付金は非課税。
- 社会保険の傷病手当金や障害年金と組み合わせることで、収入減少を大きく緩和できる。
👉 次回(第4回)は、「健康経営」とGLTDがどのようにつながっているかについて詳しく解説していきます。
(参考 2025年9月9日付 日経新聞朝刊)
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。
