投資信託を選ぶ際、「コストを気にしすぎる必要はない」と思う人もいます。
しかし、長期で見るとコストの差は確実にリターンに影響します。
1%の違いが10年で10%、20年で20%以上の差を生むこともあるのです。ここでは、インデックス投資における「コスト管理の基本」を整理します。
信託報酬の仕組み
信託報酬とは、投資信託を運用・管理するために支払う費用のこと。
年率で0.1%~2%ほど設定されており、毎日自動的に差し引かれます。インデックス型は一般的に0.1%前後、アクティブ型では1%を超えることも珍しくありません。
同じ指数に連動するファンドであれば、理論上の運用成績は同じになるはずですが、実際にはコストの分だけ差が出ます。たとえば年1%の差で10年間運用すれば、元本100万円が約10万円以上の差となって表れます。
複利の影響を考慮すれば、この差はさらに拡大します。
「手数料ゼロ」でも注意が必要
購入時手数料(いわゆる販売手数料)は、現在ネット証券を中心に「ノーロード(無料)」が一般的になっています。
そのため、実質的な比較ポイントは信託報酬の低さにあります。
ただし、コストの低さだけで選ぶのも危険です。
運用資産が少なすぎるファンドは、解約による影響を受けやすく、ベンチマークとの乖離が生じるリスクがあります。
したがって、信託報酬が低く、かつ純資産総額が大きいファンドを選ぶことが重要です。
コストは「リターンを減らす確実な要因」
投資ではリターンは不確実ですが、コストは確実に発生します。
つまり、「最初から決まっているマイナス要因」です。
そのため、長期投資の基本は「コストを減らし、時間を味方につける」ことに尽きます。
金融庁のNISA対象リストでも、信託報酬が一定水準以下のファンドが優先的に採用されています。これは、初心者だけでなく長期投資家全体にとって、コスト管理が資産形成の成否を左右することを示しています。
結論
信託報酬の差は、一見小さく見えても、長期では確実に結果を変えます。
「手数料は投資家がコントロールできる唯一の要素」。
だからこそ、ファンドを選ぶ際は低コスト・高純資産・安定運用の3条件を確認し、シンプルなルールを守ることが大切です。
出典
- 公益社団法人 日本FP協会「投資信託での積み立てはインデックス型が主流」
- 金融庁「つみたてNISA対象商品リスト(2025年9月時点)」
という事で、今回は以上とさせていただきます。
次回以降も、よろしくお願いします。

