第2回 配偶者控除・扶養控除・特定親族特別控除をわかりやすく

FP
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💡「誰の税金に関わる壁」なのかを区別しよう

前回の記事では、本人の所得税がかかり始める「160万円の壁」などを中心に紹介しました。
今回は、家族(配偶者や子ども)の年収によって、納税者の税金が変わる“壁”について整理します。

つまり、

  • 本人の税金に関わる壁 → 160万円の壁
  • 家族の税金に関わる壁 → 123万円・201万円・188万円の壁
    です。

👩‍❤️‍👨 「配偶者控除」とは?

配偶者控除は、夫(または妻)に一定の所得以下の配偶者がいる場合に、所得税を軽減できる制度です。

改正後の要件は次のとおりです。

区分改正前改正後(2025年~)
控除を受ける配偶者の年収103万円以下123万円以下
納税者本人の所得制限1,000万円以下変更なし
控除額最大38万円(配偶者が70歳以上なら48万円)同左

✅ ポイント

年収123万円を超えると「配偶者控除」は使えなくなりますが、
すぐに損をするわけではありません。ここからは「配偶者特別控除」に切り替わります。


👨‍👩 「配偶者特別控除」とは?

配偶者特別控除は、配偶者の年収が123万円を超えても、段階的に控除を受けられる制度です。

配偶者の年収控除額(納税者本人の所得900万円以下の場合)
123万円以下38万円
160万円以下38万円(満額)
160~201万円段階的に減少(最大→0円)
201万円超控除なし

つまり、配偶者が160万円まで働いても、税制上は不利にならないよう設計されています。
このため、「160万円まで安心して働ける」というニュースが広がったのです。


👩‍🎓「特定親族特別控除」とは?(2025年新設)

今回の税制改正で新たに登場したのが、
「特定親族特別控除」です。

対象は、

  • 19歳以上23歳未満の子(大学生など)
  • 親と生計を一にしている
  • 年収が150万円以下(給与所得のみ)

の人です。

子の年収控除額(親側)
150万円以下63万円(満額)
150万円超~188万円以下段階的に減少
188万円超控除なし

これにより、以前の「103万円の壁」によって大学生がアルバイトをセーブする必要がなくなりました徹底解説!「新・年収の壁」を攻略する。
親の税金にも配慮しながら、学費・生活費のために働きやすい仕組みに改善されたのです。


👪「扶養控除」との違いも整理!

名称対象控除額主な年齢層
扶養控除16歳以上の子や親族一般:38万円、特定(19~22歳):63万円高校~大学生
特定親族特別控除(新設)19~22歳の子最大63万円(段階的減額)主に大学生
配偶者控除配偶者(123万円以下)38万円(老人は48万円)主婦・主夫
配偶者特別控除配偶者(123~201万円)最大38万円→0円パート・短時間勤務者

このように、「誰の税金に効く控除なのか」を理解するのがポイントです。


📊 ケースで見てみよう

例:夫(年収400万円)、妻(年収160万円)、大学生の子(年収80万円)

  • 妻は160万円 → 配偶者特別控除(38万円)
  • 子は80万円 → 特定親族特別控除(63万円)
  • 結果として、夫の課税所得は「101万円」控除される
    家族全体で節税効果大!

🧭 まとめ:「“壁”は意識しつつ、柔軟に働く」

「年収の壁」は、「超えたら損をする」という単純な話ではありません。
むしろ、制度を理解して働き方を調整すれば、手取りを維持しながら収入を増やすことができる時代になりました。


🗒️ 出典:企業実務2025年7月号 特別記事
「徹底解説!『新・年収の壁』を攻略する」澁谷典彦税理士事務所 澁谷典彦 氏


という事で、今回は以上とさせていただきます。

次回以降も、よろしくお願いします。

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